冬のボーナスで買いたい!利回り4%超えの割安成長株

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きちりはカジュアルダイニング「KICHIRI」を中心に展開している外食チェーンです。株主優待は嬉しい食事券!成長性も見込めるため、長期投資が有効な銘柄と思います。

冬のボーナスで買いたい!利回り4%超えの割安成長株

きちりはカジュアルダイニング「KICHIRI」、ハンバーグ業態の「いしがまやハンバーグ」など20業態を展開している企業です。店舗数は関東エリア、関西エリア中心に92店舗となります(2017/9月末)。最近では関東エリアでの出店を加速しており、高単価で採算の言い新業態の出店による収益性改善が期待されます。

また、ここ数年は、飲食店舗展開事業のほか、同社が店舗運営の効率化のために構築してきたプラットフォームを開放したプラットフォームシェアリング事業(以下、PFS事業)の展開も開始し、単なる居酒屋チェーンの枠に収まらない成長が期待できるようになってきた印象です。

このプラットフォームは、特にクラウドサービスの需要拡大が期待できると見ています。外食産業で課題となっている肥大化したバックオフィス業務の効率化を図り、共同発注によって調達コストを低減できるなど、店舗運営を支える仕組みであり、潜在需要が大きいところだからです。同社では、同社が自身の事業拡大のために構築してきた既存のプラットフォームに加え、最近はIT企業との業務提携によるサービス拡充に動いており、需要を捉えようとしています。

店舗出店による収益拡大と、ストックビジネスであるプラットフォーム事業の成長による利益率改善、双方からの成長が期待できると思います。足元の業績は新規出店効果による押し上げがけん引する形で増収増益の計画となっており、さらに中長期でプラットフォーム事業がもたらす利益拡大も期待できるのではないかと思います。

同社の株価水準には割高感はなく、優待利回りと配当利回りを合わせると投資利回りは4.5%となります。このインカムゲインを得ながら、クラウドサービスの利用拡大による利益収穫期を待つ長期目線での投資もいいかと思います。

【銘柄名】きちり【市場:コード】東証1部【予想配当+予想優待額面利回り】:4.6%【2017年12月13日株価】810円【株主優待獲得最低投資額】 100株=8万1000円【今期予想現金配当(1株あたり)】7.5円【株主優待権利確定月】 12月末【優待内容】自社店舗で利用可能な優待券

100株以上3,000円分×1枚500株以上3,000円分×3枚

※今回は100株を購入して3000円分の優待券を獲得したケースを想定しています。株主優待は3000円で評価し、利回り計算を行っています。

KICHIRI軸に多彩な業態の外食を展開し成長遂げた外食企業

カジュアルダイニング「KICHIRI」の展開を軸に、ハンバーグ専門店「いしがまやハンバーグ」や「エキバル」など全20業態もの飲食店を展開しています。中核の「KICHIRI」は、特にF1層(20代から30代前半の女性)を対象とした客単価3000円台ベースの店舗運営を特徴とします。「KICHIRI」は2002年に出店して以降、関西エリアで高成長を遂げました。

関西で成功した同社は、この数年関東エリアへの出店を加速しており、関東出店に合わせた新業態の開発に注力してきました。これまでに開発した業態は、PFS事業のブランドコンテンツ活用型店舗含め20業態に及びます。

例えば新日本様式「KICHIRI」は、これまでよりワンランク上の業態で、20代後半から30代をターゲットとし、客単価は4500円程度に設定されています。また、同様に開発されたのがハンバーグ専門店「いしがまやハンバーグ」。客単価1600円とやや高い値段設定で主に年商200億円以上のショッピングモール・駅ビル内で展開しています。

そのほか、「エキバル」や「ajito」「まなや」など、多彩な業態で店舗展開しています。店舗数は、2017年11月末時点で全19業態、92店舗(PFS事業で提携した顧客企業のブランド店舗も含む)。(関西40店舗、関東47店舗、その他3店舗(6月末時点))

ここ最近では「いしがまやハンバーグ」やダイニングバーの「ajito」「igu&Peace」など収益性の高い業態の開発で成功しています。出店コストの投資回収期間で見ると、「KICHIRI」で平均3年程度といいます。対して新業態の「いしがまやハンバーグ」で14カ月、「ajito」では15ヶ月となっています。さらに営業利益率はajito30%、いしがまやハンバーグ25%と収益性が高いことがわかります。

もはや「居酒屋チェーン」とは言えないビジネスモデルを構築~飲産業全体で使える、飲食店運営を支えるプラットフォーム構築による成長目指す~

このように設立15年で、多彩な業態を展開し、東証一部に上場を果たすまでに成長を遂げた同社ですが、成長の目的は何にあると思いますか?「店舗拡大、シェア獲得」というのが普通の考え方だと思いますが、なんと同社の場合は、まだ達成されていない「真の目標」があるのです。この15年間における店舗拡大、事業成長は、その目標達成のための、いわば助走段階と言えそうです。ではその「真の目標」とは……

「外食産業の既存の枠組みを超えた新たなダイナミズムを創り出す」(ベンチャー通信の社長インタビューより)。創業者の平川社長はすでに成熟化した外食産業でどのようにして新時代を築くかを考えた結果、M&Aによる事業拡大や海外を視野に入れた店舗展開などBtoCでは限界があると認識しました。

そして今後、飲食業界がどのように変わっていくか、何が必要とされていくかを考えた末にたどり着いたのが“店舗運営の土台”となるシステム、BtoBプラットフォームによるビジネス展開でした。

新しいシステムとは、「バックオフィス」、「バックヤード」、「バックアップ企業」の3つの要素で構成されています。バックオフィス機能では、給与計算などを行う管理部門、店舗デザインや人材採用、販促などの業務をシステム化・効率化。バックヤード機能は、食材などの調達や一次加工、物流などの仕組み。一括物流のシステムを作ったことで、良い食材を適正価格で仕入れることができるようになりました。そしてバックアップ企業というのは、金融や商社、広告代理店などの提携企業のこと。

これらのシステムは、社長が創業時に「欲しかった」仕組みだったといいます。社長はモスバーガーFC開業の時代に創業期から、給料計算や採用、販促を自分でやり、スケールメリットを持たないためにいい食材を手に入れることも難しく、大企業からは相手にされなかった、そんな苦労の経験を持ちます。

そうした経験を持つからこそ、「こんな仕組みがあったらな」→「自分だけではなく飲食店が必要としているに違いない」→「この3つの仕組みは飲食産業を変える重要な要素だ」と気づいたのだと思います。この3つの要素からなるプラットフォームは同社の成長の原動力となりました。

将来の利益貢献に期待:外食クラウドサービスの展開

そして、同社は、この成功モデルともいえるプラットフォームを活用した事業を展開しています<元々持っているプラットフォームを活用するので追加コストがほとんどかからない事業展開です。プラットフォームを構成する先ほどの3つの要素は、同社が創業15年間で育成・強化してきたところであり、他社から見れば、成功できる事業力そのものです。これを産業全体で共有しようというのです。

PFS事業では、クラウドサービス展開型とブランド・コンテンツ活用型の2つの事業モデルで事業拡大が進められています。特に、クラウドサービス展開型については2016年に入ってIT企業等との戦略的業務提携を進め、サービスを拡充しているところです。ストックビジネスのため、利用拡大による利益成長が見込まれる期待の星とも言えます。

<1>クラウドサービス展開型

同社が構築しているバックオフィス機能・バックヤード機能・バックアップ企業で構成されるプラットフォームを、「外食向けクラウド」として安価な料金で同業他社に提供するサービスです。このクラウドサービスを使うことで、食材の共同調達による仕入れコスト低減や店舗の維持運営にかかる業務システムなどのコストが低減されるようになります。

人手不足を背景にした人件費の増加や物流コストの上昇、食材価格の上昇は、外食業の足かせとなっており、経営効率の改善は産業全体の課題と言えます。このような課題解決にあたり、同社のクラウドサービスは需要が拡大していく可能性が高まっています。

最近では、同社の既存システムに加え、IT企業との提携でサービスを拡充しており、潜在需要への意識が高まっていると見られます。業務提携の例ではキャッシュレス化を前提としたフィンテックの導入が目立ちます。2016年3月にユビレジと資本業務提携を行い、iPadを活用したSaaS型POSレジシステム「ユビレジ」が使えるようになったほか、2016年8月にはフィスコ仮想通貨取引所、カイカと仮想通貨決済分野で業務提携を発表しています。

また、BearTailとの業務提携では、請求書や領収書などの帳簿管理にかかる大量の業務を大幅削減できるサービスを導入しました。こうしたバックヤード業務は本業を押さえつけている場合が多いことから、顧客増が見込まれます。

<2>ブランド・コンテンツ活用型

ブランディングやプロモーションのために、飲食店を展開したいブランド企業に対するサービスです。代表的な例として、タニタ食堂の出店があります。他にもイタリアの有名ファッションブランドのオロビアンコと共同プロデュースしたイタリアンレストラン「Orobianco」(2店舗)など。提携先企業は店舗展開が目的ではなく、目的はあくまでもブランド価値向上です。

提携先企業はプラットフォーム活用による効率的な店舗運営ができ、さらには運営自体も同社に委ねることができるので運営リスクもなしに販促活動ができることになります。

18年6月期:新規出店効果をけん引役に増収増益の見通し~増益は5期ぶり~

17年6月期の業績は売上が5.8%増の22億5300万円、純利益が306.2%増の5000万円となっています。前期は、新規出店効果による過去最高売上を達成しており、その流れが続いているようです。また前期は出店店舗の立ち上がりに時間を要したこと、輸入牛肉価格などの食材費の上昇や人件費の上昇、そして出店に伴う地代家賃や減価償却費など固定費の増加が利益を押し下げ、減益決算で着地したこともあって今期第1四半期は大幅増益となりました。

ちなみに前期に計上された人件費には、PFS事業拡大に向けた人員強化を主な要因としていますので、ネガティブ視しなくてよいです。2018年6月期の業績は、新規出店による収益増がけん引する形で増収増益の見通しとなっています。達成できれば5期ぶりの増益となります。通期業績予想の前提要件は、既存店売上高が前期比1.7%減、新規出店店舗数が8店舗、またPFS事業は横ばいとの見方となっており、保守的であり達成できるような水準に設定されている印象を受けます。

成長戦略:収益性の高い新業態の開発と出店、PFS事業の成長

~高収益店舗による収益増、ストックビジネスによる持続的成長を目指す~ 同社は、「着実な出店展開と、戦略的業務提携によるPFS事業の育成により成長を目指す」と掲げ、既存事業と新業態の出店加速とPFS事業の育成に注力するとしています。出店戦略については、店舗数に関しては今後も年間10店舗前後のペースで拡大を続けていく方針です。

現在関東エリアの出店数は47店舗ですが、今後3倍以上の出店余地があると見ています。関西エリア(大阪兵庫京都奈良)における乗降客数2万人以上の駅数は312駅。これに対して関東エリアは903駅と約3倍の出店余地があると試算されます。現在の関西エリアの出店店舗数は40店舗なので、単純計算すると120店舗出店できることになります。

しかも首都圏にはターミナル駅が多いことから、居酒屋業態だけでも200店舗は可能で、加えて「いしがまやハンバーグ」などの業態も展開すれば、さらなる出店余地が見いだされることになります。「KICHIRI」は引き続き現状維持としながら、大型商業施設で引き合いの強い「いしがまやハンバーグ」などの収益性の高い新業態の開発と出店を強化する計画です。

PFS事業による持続的成長

加えてPFS事業の動向には注目したいです。2017年6月期末には、契約店舗数が前期末比約100店舗増の約600店舗となり、売上高も1億1000万円から1億3000万円と、まだ全体の1%に過ぎない売上ではありますが、着実に契約数が増加していることを踏まえると、進捗は順調と判断できると思います。このビジネスは、ある程度の契約数になると一気に利益が伸びる可能性があります。ストックビジネスモデルの性質から、特にクラウド型が伸びることで利益貢献していくと思います。

新業態展開による業績成長を見込みつつ、株主優待をもらいながらの利益拡大期到来を期待した長期投資を

店舗拡大と収益性の高い新業態の開発とその出店による収益力向上、さらにPFS事業の成長による利益拡大モデルの確立で利益率改善を伴った業績成長が期待できるのではないかと思います。

2017年9月末時点の財務内容は、自己資本比率41.6%、有利子負債が12億400万円、現金等10億3800万円を差し引いたネットDEレシオは0.1倍。流動比率1.3倍と安全圏です。新規出店に積極的であることから、借入金の増加も予想されるところですが、仮に増えたとしても資金繰りや経営に問題はなく、先行投資のための借入となるため問題はないでしょう。

17/6期実績ROEは10.0%と良好な水準です。四季報では18/6期のROEを11.5%と予想しています。今後、収益性の高い新業態の開発と店舗拡大による利益貢献、さらにストックビジネスであるPFS事業が成長することで、利益率改善に伴うROEの改善が期待できるかと思います。

そして、同社は収益が拡大していけば、配当性向30%の水準を目標に配当を行っていく方針としており、収穫期になると増配が期待できます。そして株主優待は嬉しい食事券です!同社は株主優待をもらいながら長期投資を行う銘柄として投資対象になると思います。

(文:戸松 信博)