【記者座談会 非鉄この1年】〈(6)市況〉LME亜鉛、銅が8月から高騰

黄銅棒、荷動き回復基調

©株式会社鉄鋼新聞社

A 今年の非鉄金属の市況を振り返ってみよう。指標となるロンドン金属取引所(LME)非鉄価格は、銅、亜鉛、アルミ、鉛、錫といずれも上半期は低調な値動きだったと言えるだろう。潮目が変わったのは8月以降だ。上昇要因を挙げるなら、世界の主要鉱山の供給障害懸念などに加えて、中国の環境規制による生産削減、需要改善期待の高まりといったところか。下半期は軒並み記録的な高水準で推移したね。

C 中でも、今年最も高いパフォーマンスを記録したのは、昨年に引き続き亜鉛だ。8月、10年ぶりに現物3千ドル台を突破し、10月には3370ドルを付けて今年の高値を更新した。

B 高炉大手などでは亜鉛めっき鋼板におけるコストアップ転嫁の動きもあり、非鉄金属業界内外で強い注目を集めた。亜鉛が他の金属に比べて高騰した背景には何があったのか。

C まず、自動車や建材向けに使われる亜鉛めっき鋼板需要が好調だった。一方、供給面では中国の環境規制対策で同国の製錬メーカーに対して生産規制が行われ、亜鉛鉱石や地金の供給障害懸念が台頭した。世界の複数の大手鉱山が稼働停止している向きもあり、需給タイト感が終始サポート材料となったと言えるだろう。

A 結局、年初比3割高の水準まで値上がりしたけど、来夏には鉱山の稼働再開、新規稼働も予定されており、今後は下落に向かう局面もあるかもしれない。

C 次は銅市況を振り返ろう。LME銅も8月あたりから上昇に転じ、10月には2014年9月以来、約3年ぶりに7千ドルの大台を突破した。

E 国内の山元が発表する電気銅建値も84万円台まで引き上げられ、やはり10月に3年ぶりに高値を付けている。これは流通筋にもたらした影響も大きかったのでは。

D たしかに、リサイクル原料業界でも価格高騰で荷動きが相当回復したようだ。しかし、歩留まりの良い1号銅線などは価格、荷動きともに好調だった一方、黄銅削粉などの前処理コストがかかる一部原料は割高感が顕著となり、荷余り感が深刻な状態だ。この傾向は来年も続くだろう。

A アルミはどうだったかな。

E アルミ市況は年末にかけてやや軟化したが、総じて堅調な1年と言える。9月下旬に現物2200ドル際まで上昇し、2012年9月以来5年ぶりの高値を付けた。中国の減産報道が好感されたようだ。しかし上海アルミ在庫の増加基調にも頭を抑えられ、上げ幅としては銅や亜鉛、ニッケルに比べると小さなものだった。

E 海外アルミ生産者と国内需要家との間で交渉されるアルミ対日プレミアム(割増金)も、今年は100ドルを中心とした安定推移となったね。200ドル台を超えていた昨年までの価格が異常だった、との声も聞かれるが。日本の内需は自動車向けや缶材用途の板材などが好調だったし、アルミ地金の港湾在庫も20万~25万トンの適正水準まで減少が進んだ。

B 国内電線業界の状況はどうだったかな。

E 銅建値は後半から上昇基調となっている。建設用の電線は銅建値が値決めの基準なので、基本的には建値に連動して値段は上がった。

B ただ需要が盛り上がらず需給が緩かったため、上値は重い状況だった。荷動きについては建設現場の人手不足で工期が延伸している物件が多く、電線需要が抑制されている。これまで東京五輪関連の需要が期待されていたが、立ち上がりは大幅に遅れた。ただ年末にかけて動きが出てきたとの声が聞かれ始めたので、来年からは多少需給が引き締まり上値を追える状況になってくるのでは。

C 黄銅棒についても振り返ろう。伸銅品の中でも店売り市場が大きい黄銅棒は、月を追うごとに流通や問屋も忙しくなってきた印象がある。昨年などはメーカーのヒモ付き案件のみが忙しいイメージだったが、今年に入ってからはそれが一般在庫品にも波及してきた。小口当用商いが増えているのは相変わらずだけど。

A これからもメーカーは車載部品向けに好調を持続しそうだし、一般店売りも東京オリンピック・パラリンピックに絡んだ建築需要で水栓金具やガス機器、バルブ関連が期待できる。来年は今年以上に引き合いが強まればいいと思う。(おわり)