抹茶、生クリーム、さくらんぼ。スイーツでしょうか?いいえご当地カレーです

ちょっとしたお土産に人気のご当地レトルトカレー。その地域特産のお肉や野菜を使ったものはもちろん、フルーツや魚介など各地域の特徴を取り入れたものが続々と登場しています。旅行先や物産展でつい買ってしまう、いろんな町のものを集めている、という方もいるのではないでしょうか?

そんなご当地レトルトカレー、最近では変わり種のものがメディアに取り上げられて話題になっています。

(フードコート キネマ館 )

写真提供:トリップアドバイザー

たとえば、こちらの「流氷カレー」。一見するとまったくカレーだとは思えません。「美しいオホーツク海の青色と、流氷の白色を表現しよう」とインド料理店のシェフが開発したそうで、味は意外と本格派なのだとか。レトルト版では、きちんと青いカレールーと、白い流氷(チキンのホワイトソース煮)が別々の袋に入っています。

青いカレー同様に注目を集めるのが「ピンク華麗」。チイキイロでは「進化系グルメ」の一つとしてご紹介しました。驚きつつも恐いもの見たさでつい手にとってしまう一品で、大人から子供まで幅広い世代の注目を集めます。ピンク色は鳥取県産ビーツによるもの。見るからに甘そうですが、味はちゃんとスパイシーな一品です。

チイキイロ編集部ではさらにインパクトのあるご当地カレーを求めて調査を始めました。しかし、ただ見た目が奇抜というだけではポリシーがありません。悩みながらカレンダーを眺めていたら、季節のイベントが目に留まりました。

10月はハロウィン(終わっちゃったけど)。12月はクリスマス。さらに先を見ると、2月にはバレンタイン。もしかして秋・冬って、みんなが甘いものを食べたくなる季節!?
というわけで、この度は「各地域の特産品や特徴」を活かしながらも「普通はお菓子になるような素材」を使ったカレー、名づけて「スイーツ系カレー」に注目することにしました。

レトルトカレー界の新潮流!?スイーツ系カレー食べ比べ

編集部独自のリサーチを経て、スイーツ系カレーとして今回取り上げるのは三つ。
・山形県 さくらんぼカレー
・北海道 ホワイトシーフードカレー
・京都府 宇治抹茶カレー
甘酸っぱい山形の初夏の風物詩、さくらんぼ。北海道産生クリーム。京都で食べたいスイーツの定番、抹茶。どれもケーキやアイスクリームなど、とってもおいしいお菓子ができそうです。しかし、それをあえてレトルトカレー化。一体どんなものになっているのでしょうか。

実際に試食しながら、三つの観点で比べていきます。
■見た目
 SNSでシェアしたくなるような見た目か
■素材感
 素材の個性を感じるか
■スイーツ感
 女子が喜ぶ甘口か

なお公平を期すため、いずれも
 1)湯せんであたため
 2)白いご飯とともにいただく
 3)トッピングは一切なし
という条件で試しました。

■まずは見た目を比べてみた

まずはさくらんぼカレー。産地として全国1位を誇る山形県自慢の一品。さくらんぼといえば、やっぱりテーマカラーはピンク。パッケージの鮮やかさに比べると、ルーの方は思ったよりやさしげなほんのりピンクです。

具は、にんじん、たまねぎ、豚肉、さくらんぼなど。バランスの良い感じですね。よく見るとお肉がかなり濃いピンク色をしています。

次に、北海道ホワイトシーフードカレー。北海道産牛乳と生クリームを使用したという一品です。パッケージを見る限りほぼシチューじゃないか、と思いつつレトルトパックを開けたら……おぉ、意外にも黄色っぽい。

そして(たぶん)白いホタテやじゃがいもが登場。まさに北海の恵み、といえる豊かな魚介の香りが漂ってきます。まるで一面に広がる銀世界、と表現するにはちょっと無理がありますが、試しに一瞬目を閉じてみてください。みなさんが日ごろ食べているカレーを思い浮かべてみてください。……それに比べたらかなり、いやとっても、白めのカレーじゃないですか?

本日のラインナップの中では編集部の注目度ナンバーワン「宇治抹茶カレー」です。パッケージ写真から漂う"わびさび"感。実際の姿も、写真とたがわぬ非常に濃厚な緑。普段「抹茶ケーキ」や「抹茶ラテ」などで見かけるあの色……よりもむしろ濃いくらいです。ごはんの白と、ルーの緑色のコントラストが眩しいほどに鮮やか。

近づいてみると大き目の具がごろごろ。ただ香りはほとんど普通のカレーのようにスパイシーです。

■いざ、お味見。

さてさて、問題のお味です。一口目はさくらんぼから。丸くてかわいい果実をいただきまーす!……と思ったら、意外なほどぷりっとした歯ごたえ。なんとこいつ、マッシュルームでした。完全にだまされた。さくらんぼは甘く煮てあるようで、ふにゃっとやわらかく崩れた姿で混ざっていました。

お味はまろやかで甘め。お子さんも一緒に食べられそうなほどマイルドです。さくらんぼの風味に関しては、果肉を食べるとほんのりした甘さを感じる程度。全体的にやさしい雰囲気にまとまった、とても食べやすいカレーでした。

次に、この中では一番食欲がそそられるステキな香りが漂う、ホワイトカレー。問題は、この具材と見た目で「シチューと何が違うのか?」ということです。

まず、ルーの感触が違いました。一般的にイメージされるシチューよりもさらっとしています。そして味は……確かにシチューと同じくミルク感があってとってもまろやか。でもほんのりとしたスパイスの香りで後味が引き締まるような感じ。それが魚介の味わいを引き立てています。まるでポタージュスープのような、優しい味わいの一皿でした。

そして最後に、緑色の海にスプーンを突っ込みます。おそらくじゃがいもと思しきものを掬い上げ……思い切って食べてみました!

先ほどよりちょっとスパイシーな味……やってきました、抹茶です。あれ?もう一度口に運んでみました。食べた瞬間から飲み込むまで、ひたすらに「抹茶」です。ちょっとお茶の香りがする程度かと思っていましたが想像以上。
それもそのはず、この商品を開発した「伊藤久右衛門」さんでは「抹茶の味と、抹茶の色がしっかり感じられるように、数種類の抹茶をブレンドして作っている」ということです。本当の抹茶好きも納得のこだわりが詰まっているのですね。

スイーツ系カレー 3種実食まとめ

編集部員による食べ比べ記、いかがでしたでしょうか。どれも素材を活かしながらとても個性豊かな見た目と味を作り出していましたね。それぞれの特徴をチャートでまとめました。

同じ"スイーツ系"ととらえてみたものの、広く受け入れられることを重視するか、素材を存分すぎるほど存分に使うか……そのこだわりは三者三様。無難に喜ばれるのはホワイトカレー、SNS映え狙いはさくらんぼ、インパクト重視であれば抹茶を、といったところでしょうか。

お土産店や観光施設に行けば、どこにでも「ご当地レトルトカレー」や「ご当地カップ麺」「ご当地サイダー」などが並ぶこの頃。ますます地域間の競争が激しくなる中、少しでも印象に残るようにと、創意工夫がなされているのでしょう。
なんでもかんでもカレーにすれば良いというわけではありませんが、こういった異素材の組み合わせがまだ見ぬ爆発的ヒット商品を生み出すのかも……。そんな期待をしながら、これからも怯まずにいろんなご当地食品にチャレンジしてみたいと思います!

■~おまけ~

毎日不思議なカレーを食べている私を気遣ったのか、会社の同僚がこんなご当地レトルトカレーをくれました。

……とんこつベースのまろやかなルーとスパイシーな風味がgood! 結局、食べなれた普通の味が一番ほっとするのかもしれません。笑
 

紹介した商品の購入はこちらから。 

■さくらんぼカレー
(ゴトウヤ)
http://www.47club.jp/07M-000049nqo/goods/detail/10004091/

■北海道ホワイトシーフードカレー
(高島食品)
http://amzn.asia/hkMgmEg

■宇治抹茶カレー
(伊藤久右衛門)
https://www.itohkyuemon.co.jp/fs/ujicha/094707

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