DV、サッカー… 苦難の半生 J1浦和・梅崎 自伝出版でサイン会 「将来V・ファーレン長崎でプレーしてみたい」

 サッカーの元日本代表でJ1浦和のMF梅崎司選手(30)=長崎県諫早市出身=が23日、長崎市の紀伊國屋書店長崎店で自伝「15歳 サッカーで生きると誓った日」(東邦出版発行)の出版記念サイン会を開いた。来場した約60人のファンと記念写真に納まるなどして交流を深めた。

 梅崎選手は父親のドメスティックバイオレンス(DV)から家族を守るため、15歳のときに「サッカーで成功してプロになり、自分が一家の大黒柱になる」ことを決意。母と弟を連れて父の元から逃げた。自伝では五輪落選やけがを乗り越え、家族のために歩んだ苦難の半生を振り返っている。

 3年前からサッカージャーナリストの安藤隆人さんと自伝の出版を計画。「ただのサッカー選手本にしたくない。自分の経験や人生を伝えることで、誰かの役に立つんじゃないか」という思いを込めて制作に取り組んだ。「複雑な家庭環境に苦しんでいる人や夢を追う子どもを支える人に、自分が生きてきた道のりを示すことで、何かのヒントになればうれしい」と願った。

 今まで思い出したくない場所だった古里が、自伝を通して過去をさらけ出したことで、少しずつ愛着を持てるようになったという。

 J1昇格を決めたV・ファーレン長崎については「本当に感動した。(対戦相手として)地元諫早のピッチに立てることが楽しみ。将来的にV・ファーレン長崎でプレーしてみたい気持ちはある」と語った。

サイン会に訪れたファンと記念写真に納まる梅崎選手(左)=紀伊國屋書店長崎店

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