九州商船 労使対立続く 五島市長 きょうスト回避要請 

 九州商船(長崎市、美根晴幸社長)の船員が加盟する全日本海員組合長崎支部(松本順一支部長)が25日から計画している長崎県本土と五島列島を結ぶ全便、無期限のストライキを巡り、双方の対立は23日も続いた。ストに入った場合、市民の足や物流で大きな打撃が予想される五島市の野口市太郎市長は24日に長崎市の九商と組合を訪ね、スト回避を呼び掛ける方針。一方、五島産業汽船(新上五島町)はストの間、長崎-福江間で高速船を臨時運航する方針を明らかにした。

 組合は九商のジェットフォイル整備員の新たな採用制度に反発し、撤回を求めている。23日の取材に対し九商は、すでに提示している和解案による早期解決に望みを託した。一方、組合側は会社側の「白紙撤回」を改めて主張。双方の歩み寄りは見られなかった。

 こうした中、ストを見越した企業や島民の動きも出ている。五島産業汽船は「行政の要請もあり、できる限り協力する」として、ストに突入次第、長崎-福江間で新たに高速船を1日計4便運航する。新上五島町と五島市でスーパーなどを展開するドゥイング(同町)は主に九商のフェリーで物資を調達。物流悪化に備え在庫を増やしており「台風で2日間船が止まるだけで商品棚はがらがらになる。早期解決を」と訴えた。

 一方、五島市の県立五島高は27日まで補習授業を予定しているが、一部の島外出身生は24日までに帰省させることを決定。25日にジェットフォイルで出張予定だったが飛行機に予約変更した市民もいるなど、影響が広がっている。

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