「非戦」の訴え1冊に 国際NGOが体験談集

 アフガニスタン、シリアなど紛争地での人道支援、核廃絶、沖縄、開発教育などの第一線で活動してきた非政府組織(NGO)スタッフら12人が平和への思いを語った「非戦・対話・NGO〜国境を越え、世代を受け継ぐ私たちの歩み」(新評論)が刊行された。世界の厳しい現実に直面する中で「非戦の意思」が培われた経緯を語り、日本と日本人が本来の平和主義に立ち戻るよう訴えている。

 12人は、NGOの立場から平和づくりに取り組もうと2015年に発足した「NGO非戦ネット」(賛同団体77団体)の有志。日本国際ボランティアセンター(JVC)代表理事の谷山博史さんはタイ・カンボジア国境やアフガニスタンでの人道支援など、「シャプラニール=市民による海外協力の会」元代表理事の大橋正明さんはバングラデシュでの貧困層支援など、APLA事務局スタッフの野川未央さんは東ティモールや沖縄での活動、サダーカ代表の田村雅文さんはシリアでの和平活動などを紹介。12人は貴重な体験談と、そこで得られた信念と理想を語っている。

 安保法制などで軍事化が進み、北朝鮮の核問題も深刻化する中、12人の言葉は日本と日本人が平和主義を貫く意義と尊さををあらためて示している。

 また、それぞれの活動分野について解説するコラムや、それぞれの人生に影響を与えた本を紹介する「私にとっての3冊」のコーナも設け、次世代への総合的なガイドともなっている。A5判318ページ、2808円(税込み)。

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