経産省、予算・税制などで製造業の品質保証体制後押し 品質不正事案の多発受け

 経済産業省は22日、製造業で製品検査データの書き換えなどが相次いでいることを受けて、製造業の品質保証体制の強化に向けた対応策を取りまとめた。個企業や業界団体に対応強化を促すほか、データ書き換えなどができない仕組みを構築する企業を予算措置や税制で後押しする。また、工業標準化法(JIS法)の違反事例が出ていることを踏まえ、JISの対象に品質マネジメントやサービスを追加するとともに、違反した場合の罰則強化を検討する。

 経産省は、一連の不正事案の発生では、安全性の検証が最優先課題との立場。その上で品質保証体制の強化は企業の競争力に直結する経営問題であるほか、品質への信頼が揺らぐと日本の産業界全体の競争力にも影響すると判断。個企業の取り組みを政策パッケージを活用して支援する。

 これまでに発覚した不正事案では、検査データを改ざんするケースが目立つ。改ざんを防ぐには、企業内やグループ企業間、契約当事者間でデータを共有し、うそのつけない仕組みを構築することが有効。経産省はデータ共有に関する企業の設備投資などを助成金や税制で支援する。

 またガバナンス(企業統治)の問題が指摘されているため、ガバナンス強化につながる施策を検討。この一環として、品質保証が中心だったJISに、品質マネジメントやサービスなど経営管理に関する項目を追加。併せて罰則強化を検討する。来年の通常国会に改正法案を提出する方向。

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