新日鉄住金ステンレスの錫添加Cr系「FWシリーズ」、低価格品で国内市場に投入

 新日鉄住金ステンレス(社長・伊藤仁氏)は25日、錫添加高純度フェライト系ステンレスの独自商品である「FW(フォワード)シリーズ」の新商品として、「NSSC FW0(ゼロ)」を国内市場に本格投入すると発表した。クロム含有量を13%まで低減することでコストを抑制しながらSUS430とほぼ同等の耐食性を実現し、SUS304に準ずる高い加工性と優れた溶接性を実現した。

 FW0冷延薄板はゼンジミア製品でもタンデム製品でも供給でき、仕様次第でSUS430(2B仕上げ材)に対して価格を3~10%抑制できる。ステンレス需要の裾野の拡大を目指し国内市場に本格投入する。

 FWシリーズは、微量の錫を転嫁することでフェライト系ステンレスの耐食性を飛躍的に向上させる独自技術を基に、ステンレスの基本元素であるクロムの添加量を削減しつつ耐食性を改善し、加工性も向上させた高純度フェライト系の独自シリーズ。

 2010年にFW1(14%Cr)、FW2(16%Cr)を市場投入し、現在は「0・1・2」の3鋼種を汎用性の高いベース鋼種、その他3鋼種を細かい用途やニーズに応えるカスタマイズ鋼種に位置付け、計6鋼種をそろえる。「省資源・エコフレンドリーで高い価格安定性」という商品コンセプトが顧客に評価され、現在は年3万トン規模の受注を達成している。

 FW0は高いコスト競争力を武器に「海外汎用品市場でも戦える」鋼種であり、15年下期に海外市場に投入し、すでに海外家電向けで大口採用を実現している。

 SUS430より安価なコスト競争力や一定の耐食性、加工性、溶接性を生かし、家電、自動車などで他素材からの転換が期待できる。表面処理鋼板からの素材転換や日新製鋼の販売チャンネルの活用が進む可能性もありそうだ。

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