【新日鉄住金グループ企業の〝今〟(13)】〈王子製鉄〉600サイズの平・角鋼を生産

強みは〝高品質と短納期〟

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 王子製鉄は群馬工場(群馬県太田市)で平鋼と角鋼を生産する電炉メーカー。平鋼の生産サイズは幅13~310ミリ、厚さ3~65ミリ。開先や溝付きなど多様な形状の異形平鋼も手掛ける。角鋼は幅・厚さともに9・52ミリ~65ミリ。特に平鋼は全国シェア1位で、建築や土木、建産機、自動車など需要分野は幅広い。

 群馬工場の生産能力は製鋼が月4万トン、圧延が月3万5千トン。製鋼は80トンの直流電気炉と炉外精錬炉が各1基、4ストランドの連続鋳造設備と分塊圧延機7スタンドを備える。電炉には排熱を活用した上下二層式の縦型スクラップ予熱装置「MSP(マルチステージ・スーパー・プレヒーター)」システムを採用。高い熱効率による省エネルギー操業を特長としている。

 圧延は「第一圧延工場」と「第二圧延工場」の2ラインあり、ともに圧延機は20スタンド。一圧では幅38ミリ以上の大中形、二圧では幅100ミリ以下の小形サイズを生産し、共通サイズの幅38~100ミリは生産状況に応じて振り分けている。圧延ラインはオールタンデム式で、表面や内質、寸法形状の安定した製品を生産。さらに製品サイズに合わせたロール圧下・ガイド調整を自動化し、サイズ替え時間の短縮により30日サイクルで600サイズもの生産を実現。〝高い品質とデリバリーの良さ〟を最大の強みとしている。また、環境負荷低減にも力を入れており、スクラップ予熱装置のさらなる操業改善や冷却水の循環ポンプを高効率化したことで、目標の2013年度比10%削減を達成できている。

 17年の平鋼の国内需要は月7万5千トンとほぼ前年並み。その中で、同社の販売も月平均で3万1千トンとおおむね前年並み。昨年後半から徐々に受注は回復傾向で、10月の受注は3万4千トンに増加。「来年も月3万4千トンペースを維持したい」(田邉社長)とする。

 14年に大三製鋼と中央圧延が相次ぎ撤退し、関東地区に生産拠点をもつ平鋼メーカーは王子製鉄のみとなった。同社は小形平鋼の供給を維持するため、14年に中央圧延の第二圧延工場を買収し、単圧子会社「王鉄圧延」を設立。15年末には王鉄圧延の生産を休止し、小形サイズも群馬工場に集約した。

 ただ、3×13ミリなど超小形サイズの生産性はベースと比べ10分の1程度。小形サイズの集約により二圧で生産に負荷が掛かるため、今年は3組体制の一圧から2組体制の二圧へ一時的に1組をシフトし、サイクルを安定。「現在は両工場とも1カ月のロールサイクルを実現できている」(同)。人員シフトの副次的な効果として技術力や品質の向上につながった面もあるとする。

 今年4月には社内に新組織「NOP」を発足させた。NEXT OJI PROJECTの略で、部長1人と課長2人で〝製造実力世界ナンバーワン電炉メーカー〟への取り組みを検討中。特に3年以内に必要な、トランスなど電気炉の電源系統の老朽更新が最大のテーマだ。20年に1度の大がかりな更新だけに「次の20年後を見据えて抜本的に工場を見直し、どう改造するかを決める」(同)ため、今年は〝勝負の年〟と位置付ける。大規模更新を通じて現場力の向上も期待する。

 07年に大同特殊鋼が株式を譲渡し、同社は新日本製鉄(現・新日鉄住金)の傘下に入った。田邉社長は新日鉄住金グループでの王子製鉄の位置付けについて「プロセスが似ている室蘭製鉄所とは年1回の技術交流会を行っている。互いに良い所を学び合い、切磋琢磨できる関係にある」と語っている。(このシリーズは毎週水曜日に掲載します)

企業概要

 ▽本社=東京都中央区

 ▽資本金=3億4500万円(新日鉄住金51・5%=議決権割合)

 ▽社長=田邉孝治

 ▽売上高=279億5700万円(17年3月期、単独)

 ▽主力事業=平鋼、角鋼の製造・販売

 ▽従業員=318人(17年3月末現在、単独)