創成館最優秀 全国へ 九州高校演劇研究大会 原爆テーマ「髪を梳かす八月」

 第59回九州高校演劇研究大会(九州高校演劇協議会など主催)が16、17の両日、佐賀県鳥栖市で行われ、長崎県代表の創成館高が初めて最優秀賞に輝いた。同校は来年8月に長野県で開かれる第42回全国高校総合文化祭「2018信州総文祭」に九州代表として出場することが決まった。

 同校演劇部は1年生中心に部員10人で、うちキャストは5人。顧問の塚原政司教諭が脚本を書いた「髪を梳(と)かす八月」を上演した。舞台は1945年8月9日、長崎原爆投下の約1時間前から始まる。爆心地近くに暮らす家族の生活を描き、待ち受ける悲劇を予感させる。作品のテーマと、物語に引き込む部員たちの演技力などが評価されたという。

 72年前、県立長崎高等女学校専攻科の入学式を「明日」に控えた洋子役を演じた松藤みづほさん=1年=は「長崎原爆のことを全国の人に知ってもらえる機会を得たことが何よりうれしい」と喜んだ。洋子の同級生役の宮本紗菜さん=1年=は「もっと戦時中のイメージを膨らませ、役になりきれるよう動きや言葉など演技に磨きを掛けたい」と語る。

 大道具担当として舞台を製作した田中彪(ひょう)部長=2年=は「戦時中のリアリティーを求め、竹を割って柵なども作った。信州総文祭では、被爆地長崎から発信する平和へのメッセージを感じとってほしい」と意気込んでいる。

 長崎県勢の九州大会での最優秀賞は、1993年の純心女子高、2004年の瓊浦高に続いて3校目となる。大会には九州・沖縄8県の予選を勝ち抜いた11校が出場した。

長崎原爆をテーマにした「髪を梳かす八月」を演じる創成館高演劇部=16日、鳥栖市民文化会館(同校提供)

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