大分大医学部発 創薬ベンチャー「がんや難病治療に挑む」

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大学発創薬ベンチャー企業の設立を広瀬勝貞知事に報告する北野正剛大分大学長(左から2人目)ら関係者=27日、県庁

 製薬会社などによる新薬開発(創薬)を支援する大分大学医学部発のベンチャー企業「大分大学先端医学研究所」(由布市挾間町、加納裕久社長)が発足した。病気の原因物質に作用する化合物を探し当てるのにかかる「膨大な時間やコストを削減できる」(同社)独自技術が強みで、がんや感染症、難病などの治療に有効な創薬シーズ(種)開発に携わる。既に海外の企業や大学から引き合いが来ている。

 創薬のプロセスは(1)病気の原因物質に作用する材料の選定(2)非臨床試験(動物実験)(3)臨床試験(人への投与試験)―の順で進む。材料選定では、原因物質が病気を発症させる働きを阻害する化合物を探索する。一般的には候補物質のテストをローラー作戦のように繰り返し、合致する有望物質が見つかる確率は1万分の1以下といわれる。

 同社は、テストする化合物の構造を、病気の原因物質(主にタンパク質)の立体構造に適合して作用するようにデザインして作る独自技術を活用。有望物質を作り出す確率を飛躍的に高めた。狂犬病治療薬など三つのテーマの探索を本年度実施し、2テーマ(66・6%)で合致する成果を上げた。一般的に十数億円かかるとされる探索コストを、数百万円に抑えることも可能になるという。

 大分大は1980年代(当時は大分医科大)から臨床薬理学講座があり、全国でも希少な創薬支援の素地があった。加えて、独自技術の中核部分のノウハウを持ち、大手化学メーカー勤務や創薬ベンチャー起業の経験がある小路弘行氏を4月に特任教授として迎えたことで機運が高まり、10月に同研究所を設立した。

 製薬会社などから依頼を受け「オーダーメードの化合物を提供するビジネスモデル」(同社)を展開し、大分大での臨床試験もできる。将来は株式上場して資金調達し、自社を中心にした医薬品開発の産業集積を目指す。

 加納社長は「世界最先端のイノベーション(技術革新)。大分大学を拠点に九州全体の創薬基盤をつくりたい」、小路氏は「これまで治療が難しかった病気の薬づくりに挑む」と話す。

 27日、北野正剛大分大学長ら関係者が県庁を訪れ、広瀬勝貞知事に報告した。

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