【MLB】米誌特集、松井秀喜氏は米殿堂候補に「残らない」も…実績は「見返す価値ある」

ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏【写真:Getty Images】

今年初めて米殿堂候補入りの松井氏、資格継続へ得票率5%が条件も…

 米国の野球殿堂入り候補者の投票結果は、来年1月24日(日本時間25日)に発表される。今回は、ヤンキースで2009年ワールドシリーズMVPに輝くなど、4球団でプレーした松井秀喜氏が日本人野手として初めて候補入り。全米野球記者協会(BBWAA)に10年以上所属する記者の投票で75%以上の票を獲得すれば殿堂入りとなるが、メジャーの成績のみで判断されるため、松井氏の選出は極めて厳しいと見られている。

 むしろ、ポイントは来年の資格継続の条件となる5%以上の票を獲得できるかどうか。2013年末に日本人として初めて候補入りした野茂英雄氏ですら、得票率1.1%(6票)に終わり、2年目は候補から外れている。米誌「スポーツ・イラステレイテッド」電子版では、有資格1年目でこの5%の“ボーダーライン”上にいる名手たちの特集を掲載。オーブリー・ハフ、オーランド・ハドソン、カルロス・リー、ジョニー・デーモンとともに松井氏の名前も挙がっており、「ジョニー・デーモン、ヒデキ・マツイは人気はあるが、殿堂入りはない」とのタイトルが付けられている。

 記事では、選手の勝利への貢献度を測る「WAR」を用いた「JAWS」と呼ばれる指標などを基に分析。松井氏のキャリア通算WARは21.3で、殿堂入りした左翼手の平均65.2に遠く及ばず、JAWSも21.3で平均値の53.3を大きく下回っている。日本で10シーズンを過ごしてから海を渡った松井氏のキャリアは当然、デビューからメジャーでプレーし続けた選手と比べて短く、これらの数字は低くなる。なお、人気選手だったデーモン氏もWARは「15」、JAWSは「9」ほど殿堂入り選手の平均に及ばず、厳しいとの見方だ。

 一方で、記事ではこれらの選手の実績は「もう1度見返す価値がある」と指摘。それぞれのキャリアを振り返っている。

MLB公式サイトは「日米合算なら殿堂入りは現実的」

 松井氏については、日本での輝かしい実績や、メジャー2年目の2004年に打率.298、出塁率.390、長打率.522、31本塁打という自己最高の成績を残し、WAR「5.0」をマークしたことなどを紹介。2006年の左手首骨折やその後の膝の負傷、そして、2009年のワールドシリーズMVPについても当然、触れている。

 さらに、最後には日米通算で508本塁打、2655安打を記録していることを紹介。米国での野球殿堂入りは厳しいものの、日本では王貞治氏、野茂英雄氏ら過去に4人しかいない1年目での殿堂入りの可能性があると伝えている。

 松井氏の殿堂候補入りについては、MLB公式サイトも26日(同27日)に特集記事を組んでおり、謙虚な人柄などについても称賛。そして、「日本と米国での成績を合わせてみると、彼は打率.293、出塁率.381、長打率.521、508本塁打、1500の得点と打点を記録している。クーパーズタウン(殿堂)行きが現実的であることがわかる。日本における野球の象徴であるサダハル・オウは入会していないが、野球はより国際的スポーツになるという考えがある。野球の殿堂もそれに従うだろう」と結論づけていた。

 現実的には、「スポーツ・イラステレイテッド」が指摘するように、5%の得票率に達することも難しいかもしれない。ただ、日本で偉大な実績を残し、メジャーに挑戦する選手への見方は確実に変わってきている。そして、現在でもニューヨークで絶大な人気を誇る松井氏が、メジャー随一の名門球団ヤンキースで消えることのない大きなインパクトを残したことは確かだ。

(Full-Count編集部)

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