横浜→山下ふ頭に空中交通!?ロープウエー構想浮上

 東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に向けた横浜臨海部の新たな交通機関として、ロープウエーなどの索道を使った空中交通構想が浮上した。横浜市内企業が整備費を調達し、運営を担うとして市の公募に名乗りを上げた。横浜駅東口と新たな開発が進む山下ふ頭(同市中区)を結び、客船ターミナルや観光地をつなぐルートを想定。港内や河川などの水上交通や陸上の交通網と接続することで、市内を周遊する観光客を増やしていく。

 市都市整備局は臨海部の回遊性を高める「まちを楽しむ多彩な交通の充実」を掲げ、公費負担を伴わない事業提案を26日まで公募していた。

 空中交通を提案したのは市内4社が出資した株式会社「YNP」(同区、藤木幸太社長)。ミナト横浜を象徴する水際を空から楽しめるよう、横浜駅東口から市中央卸売市場、臨港パーク、パシフィコ横浜、新港ふ頭、横浜赤レンガ倉庫、大さん橋、そして山下ふ頭を索道でつなぐ。特に新鮮な地元食材が集まる市場を経由することで新しい観光地を生み出す狙いがある。

 YNPはいずれも市内に本社を置く藤木企業(藤木幸太社長)、小此木(小此木歌藏社長)、川本工業(川本守彦社長)、横浜岡田屋(岡田伸浩社長)で構成。19年春すぎに開業を目指す新港地区客船ターミナル(仮称)の整備事業を担う企業グループ「ヨコハマ・ピア9」の構成企業でもある。

 岡田社長は神奈川新聞社の取材に「水際は移動に絶好のロケーションであり、索道で結ぶ新しい交通事業は地元企業にとって大きな挑戦。整備する客船ターミナルと同様に、地元企業が中心になってノウハウや資金を出す動きが進むことで、この横浜をさらに魅力的な街にしたい」と意欲を示した。

 YNPと同じ空中交通を発案した横浜港運協会(藤木幸夫会長)、一般社団法人美港都市横浜を創る会(星野幸彦代表理事)とも連携。さらに、一般社団法人横浜港振興協会(藤木幸夫会長)が窓口となり、関内・関外地区活性化協議会(北村宏会長)、NPO法人HamaBridge濱橋会(荒井浩理事長)を加えた地元6団体が水上、陸上、空中をつなぐ交通構想を共同で市に提案した。

 市は3月までに提案書の内容を総合的に評価し、4月以降に公民連携により取り組む可能性がある提案を幅広く選定する見込みだ。

 空中交通を巡っては、1989年3月から191日間、横浜・みなとみらい21(MM21)地区で催された横浜博覧会(YES’89)でゴンドラリフトが運行された実績がある。

 横浜そごう2階デッキから横浜港の上空を通り、現在のけいゆう病院近くの会場まで約770メートルを結んだ。当時の横浜そごうや東京索道(東京都千代田区)などが共同出資した「横浜博スカイウェイ」が事業者となり、国の事業許可を得て横浜博の閉幕まで運行し、延べ約305万人が利用した。

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