黒塗り開示に疑問 横浜線立体交差報告書で相模原市

 JR横浜線の連続立体交差事業を計画している相模原市が、2016年度分の委託調査報告書を黒塗りして市議に開示したことが波紋を呼んでいる。施工方式の比較や、概算工事費と工期などをコンサルタント会社に発注した結果を市がまとめたもので、市議側は「個人情報部分は理解できるが、黒塗りせずに一緒に考えていくべきではないか」と指摘。市都市建設局は「来年度に公表する予定で、未成熟な段階での公表は誤解を与える」と、考え方の違いが浮き彫りになった。

 立体交差事業はJR橋本駅(同市緑区)からJR矢部駅までの約3・7キロ区間を想定。踏切6カ所の安全確保や南北の分断解消などを目的としている。委託調査は14年度から4年間で、調査費は計約9500万円に上る。

 この問題は、長友義樹氏(颯爽(さっそう)の会)が12月20日の市議会本会議一般質問で指摘した。A4判で約200ページの調査報告書を請求したところ、議論の対象となる部分は黒く塗られていた。資料請求に関わった同じ会派の野元好美氏は取材に対し、「個人情報の部分ならやむを得ないが、まったく判断材料にならない」と市の対応を疑問視した。情報公開請求も同じ扱いになるという。

 同市は橋本駅周辺地区区画整理事業など10の大規模事業があることから、長友氏は一般質問で、「市の財布は一つ。議会では各区の要望ばかりを提案するのではなく、市の将来を一緒に考えるべきではないか」と提起。「このまま大規模事業を進めれば、財政破綻になりかねない。黒塗り部分を公表して市議会と一緒に話し合うべきだ」などと市の姿勢を懸念した。

 市都市建設局によると、委託調査に関する最終報告は本年度中にまとめ、来年度の早い時期に公表する予定という。

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