【MLB】ダルビッシュら獲得に踏み切れず? 資金力豊富なはずのカブスのジレンマ

去就が注目されるダルビッシュ有【写真:Getty Images】

先発投手にほとんど動きがないFA市場、大型契約へのリスクを考慮か

 まもなく年越しを迎えるが、多くの米メディアでNO1評価を受けているダルビッシュ有投手をはじめ、メジャーリーグでは大物FA選手の去就がまだ決まっていない。市場の動きが例年に比べて遅く、移籍先が決まるのは年明けとなる可能性が高まってきた。ダルビッシュについては、昨季世界一のカブス、今季世界一のアストロズ、そして躍進を目指すツインズなどの動きが表面化しているものの、契約には至っていない状況だ。

 米テレビ局「NBCスポーツ」電子版は、先発投手の補強という明確な目標を持つカブスが、獲得候補に挙げている選手と契約に至っていない理由を分析。資金力のある球団であっても、大金が必要な大型契約に踏み切れないという現状があるようだ。

 記事では今オフに去就が決まった大物FA選手は、フィリーズと契約したカルロス・サンタナ内野手ら少数であることを指摘。29日(日本時間30日)にはロッキーズがカブスからフリーエージェント(FA)となっていた救援右腕ウェイド・デービスと3年契約を結んだことを発表したが、先発投手にいたってはほとんど動きがない。

 同メディアは、特に先発投手の補強が必要となっているカブスの動きに注目。「トップターゲット」としてダルビッシュやアレックス・カッブらの名前が浮上しているものの、契約のニュースが流れてこない理由として、資金力豊富なカブスにとっても高いと感じるコストにあるという。

 ダルビッシュ、カッブに加え、カブスからFAとなったジェイク・アリエッタも、これまでの実績から4、5年契約を求めることは当然と見られている。総年俸は1億ドル(約112億5000万円)を超えることが確実だ。ただ、大型契約を結べば、同時に「リスク」も抱えることになる。

「FA先発投手に大金を投じるか、節約をして現在のコア選手たを引き止めるか」

「投手に対しての長期契約はリスキーなものになってきているが、来季開幕時に30~32歳を迎えるアリエッタ、ダル、カッブは、これまでの活躍に見合った長期契約を求めることだろう。しかし、この年代の投手と長期契約を結ぶチームは、契約中に彼らが故障してしまうリスクを抱えることになる」

 記事ではそう指摘。さらに、今オフに大金を使えば、来オフにFAとなるブライス・ハーパー外野手の争奪戦に参戦するための資金がなくなるとの見方も示している。一方で、カブスでは、2020年オフまでにはレスター、ヘンドリクス、キンタナといった先発投手陣が全員チームを去っている可能性もあり、リゾ、ブライアント、ラッセル、バエス、シュワーバーといった主力野手も多くが21年オフまでにFAになると言及。長期契約の先発投手を獲得するのか、それとも主力引き止めのための資金を残すのか、難しい選択を迫られているというのだ。

「長期的に見ての成功を収めるには、今、FA先発投手に大金を投じるか、節約をして現在のコア選手たを引き止めるか。確かなことは21年までは現在のチーム編成を維持できる、ということだ。ただ、ワールドシリーズ制覇へ向けて、アリエッタ級の先発なしで成し遂げられるだろうか?」

 記事では、このように投げかけた上で「これこそが今冬、カブスが難しいバランスを求められているかの理由だ」と結論づけている。ダルビッシュの去就にも大きく影響するだけに、カブスがこの先どのような動きを見せるのか、注目が集まるところだ。

(Full-Count編集部)

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