【特集】鉄道車両、2018年に相次ぎ交代

新型登場の一方で「老兵」引退も

京王電鉄が2018年春に運転を始める有料座席指定列車に使う新型車両5000系=2017年12月10日午後、東京都府中市(筆者撮影)

 小田急電鉄の運転席を2階に設けて客室から前面展望を楽しめるようにした特急「ロマンスカー」の新たな車両の運転開始など、新型登場がめじろ押しの2018年が幕を開けた。だが、「会うは別れの始め」は人の世に限らず鉄道も同じ。車両の主な交代劇を紹介したい。(共同通信=経済部・大塚圭一郎)

 ▽13年ぶりの前面展望車

 小田急電鉄が3月17日に赤色を基調にした外観の特急用車両「ロマンスカーGSE70000形」の営業運転を始める(詳しくは拙稿・名鉄の名車パノラマカーが小田急で復活!?)。前面展望席を備えたロマンスカーの登場は、白い車体色をまとった「VSE50000形」が05年にデビューして以来、約13年ぶり。定員が400人の7両編成をJR東海子会社の日本車両製造(名古屋市)で2編成製造し、投資額は計約40億円。

 GSEは客室先頭の展望窓の縦幅をVSEより30センチ広げ、先頭の列の座席を約35センチ前方に配置し、より迫力のある眺望を楽しめるようにしたのが特色だ。側面の窓の縦幅も約1メートルと歴代のロマンスカーで最大となり、VSEより約30センチ広げた。新宿と乗り入れる箱根登山鉄道の箱根湯本(神奈川県)を結ぶ観光特急「はこね」と、途中停車駅が小田原(神奈川県)だけの「スーパーはこね」を中心に運転する。

 VSEがデビューする3月17日のダイヤ改正で、土休日の「スーパーはこね」の一部列車は新宿―小田原間を現在より5分短縮の最短59分と、1時間を切る。時間短縮の原動力が東京都内の代々木上原―梅ケ丘間(2.2キロ)で3月3日に供用が始まる複々線で、これにより代々木上原―登戸(神奈川県)間で工事を進めてきた複々線が完成する。

 東京都交通局は都営地下鉄浅草線で約20年ぶりの新型となる「5500系」を今春から運転。沿線に歌舞伎座を抱えるだけに歌舞伎の隈(くま)取りを現代風にアレンジした装飾を外観に施し、内装には東京の伝統工芸品である江戸切子の柄を用いるなど和の雰囲気を醸し出した。浅草線は東京の代表的な観光地の浅草や銀座を走り、京浜急行電鉄、京成電鉄と相互直通運転をして羽田空港と成田空港にも乗り入れるだけに「多言語対応の液晶モニターを設置するなど訪日外国人旅行者にも利用しやすい車両を目指した」(東京都交通局)。

 東京急行電鉄は東京メトロ半蔵門線、東武鉄道伊勢崎線と相互直通運転する田園都市線〈渋谷(東京都)―中央林間(神奈川県)間〉に新型車両「2020系」を今春導入する。田園都市線では昨年11月15日朝に電車への送電が止まって渋谷―二子玉川(東京都)間で4時間半にわたって運転を見合わせて通勤通学客を含めた約12万6千人に影響が出るなどトラブルが相次いだ。2020系は車両機器を常に監視できる大容量情報管理装置を採用することで故障を未然に防ぎ、安定運行に役立てるという。

 一方、東急目黒線などと22年度から相互直通運転し、神奈川県から東京都心部へ直行する相模鉄道は今年2月11日、東急との直通運転に使う新型車両「20000系」の営業運転を始める。横浜の海の色をイメージした濃い青色のネービーブルーをまとった外観で、相鉄の名物の一つだった車内の鏡を復活させる。

 ▽座席指定列車は「明大前飛ばし」

 京王電鉄は新宿と東京都西部の京王八王子、新宿と橋本(神奈川県)の両区間で今春から、京王で初となる有料座席指定列車を平日と土休日の夜間帰宅時間帯に運転する。使う車両は、昨年9月に登場した京王で約16年ぶりの新型車両「5000系」で、1963年から2004年まで活躍していた京王の先駆け的な高性能車両に付けられていた形式名を踏襲した。先頭を傾斜させたスマートな外観で、最大の特色は座席の向きを90度回転でき、座席指定電車が運行する際は進行方向に面したクロスシートの配置にする一方、日中に通常の列車で走る場合は窓際に並ぶロングシートに一変して立つ人の空間も広くする。

 座席指定列車のダイヤは現時点で未公表だが、関係筋に取材したところ新宿と調布の間はノンストップで運行し、井の頭線と接続する主要駅の一つ、明大前(東京都)を通過する「明大前飛ばし」になることが明らかになった。京王八王子行きはほかに途中で府中、聖蹟桜ケ丘、高幡不動の各駅、橋本行きは京王多摩センター、南大沢各駅といった乗降客数が多い駅に停車させる見通し。追加料金300~400円程度を軸に設定。07年のミシュランガイドで最高の三つ星を獲得した東京の奥座敷、高尾山への登山客を運ぶため、幹部は「土曜と休日に新宿と高尾山口を結ぶ座席指定電車に使うことも検討している」と打ち明ける。

 ▽退く「老兵」の行方は…

 新型登場の一方で、消える名物車両も。小田急のGSEは18年4~6月期に2編成がそろい、1980年の登場から約38年間活躍してきた運転席を2階に設けた前面展望車「ロマンスカーLSE7000形」は引退する。星野晃司社長は「他で是非(ほしい)という声は聞いていない」と地方鉄道などへの譲渡先が今のところ見つかっていないことを明らかにしており、走る姿は今年前半が見納めになりそうだ。

 東急は田園都市線に2020系を今春入れるのに伴い、1975年登場のステンレス車両「8500系」を順次引退させる。当初の導入は10両編成の3編成にとどまるが、東急関係者は「数年間かけて順次導入し、8500系は全て消滅する見通しだ」と明かした。ただ、東急から譲渡された8500系は埼玉県の秩父鉄道や、長野県の長野電鉄などで活躍しており、地方鉄道では当面「第2の人生」を謳歌(おうか)しそうだ。

 東急が67年から72年にかけて生産した7200系は、譲渡された長野県の上田と別所温泉を結ぶ上田電鉄別所線から今年5月に引退する。現在残っている編成は、別所線で28年から86年に活躍し、別所温泉駅の隣に保存している戸袋窓が円形なのが特色の通称「丸窓電車」(モハ5250形)を模した装飾で人気を集めているだけに、惜しむ向きが広がりそうだ。

 JR東日本は、新宿―松本(長野県)を結ぶ中央線の特急「スーパーあずさ」について拙稿でお伝えしていた通り、今年3月17日のダイヤ改正で新型車両「E353系」に統一すると昨年12月15日に正式発表した。これに伴って93年に営業運転を始め、94年の「スーパーあずさ」運転開始から走ってきたE351系が退く。JR発足後に製造された車両の引退劇は、昨年4月に丸30年を迎えた旧日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化が遠い昔になったことを物語っていそうだ。

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2018年3月17日に運転を始める小田急電鉄のロマンスカーGSE70000形=2017年12月5日午後、神奈川県相模原市(筆者撮影)
2018年に引退する小田急電鉄のロマンスカーLSE7000形=2012年6月24日午後、東京都内(筆者撮影)
上田電鉄が2018年5月に引退させる7200系(奥)と、保存されている丸窓電車のモハ5252=2017年12月25日午後、長野県上田市(筆者撮影)

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共同通信

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