日韓で差がある投手の完投能力、韓国メディア分析「日本投手が活躍できる要因」

2017年の完投数「8」を誇る楽天・則本昂大【写真:荒川祐史】

日韓プロ野球で大きな差がある先発投手の完投数

 現代野球は投手分業制が浸透しリリーフ投手の価値が高まっているが、試合の流れは先発投手がどれだけ試合をつくることができるかにかかっている。そんな中で韓国メディアが日韓の先発投手の完投数を比較する記事を掲載した。

 2018年の韓国プロ野球は3月24日に開幕。今年は8月に開催されるインドネシアアジア大会の影響もあり、リーグ中断も発表されている。日本のライバルともいうべき韓国球界の課題の1つは先発投手にある。

 韓国のレギュラーシーズンは全144試合で日本の143試合とほぼ変わらないが、大きな違いの1つとしては先発のスタミナ、つまり完投数にある。韓国メディア「スポーツ東亜」では日韓両国の先発投手の完投数を比較しており、「過去5年間で20完投以上を記録したのは日本では則本昂大(楽天/25回)、金子千尋(オリックス/22回)、菅野智之(巨人/21回)と3人いるが、韓国では1人もおらず最高でもユン・ソンファン(サムソン/7回)だ」と報じている。

 この5年間のスパンでみても韓国の先発投手は平均5回1/3しか投げておらず完投することが難しくなっている現状にあるという。また、昨シーズンの成績をみても韓国の最多完投数がわずかに「2」であるのに対し、日本では則本の「8」、次いで菅野、金子、菊池雄星(西武)の「6」と大きな差がある。

韓国解説者も指摘「韓国は明らかに完投する投手が不足」

 今年飛躍を遂げた菊池を一昨年まで指導していた田辺徳雄氏は昨年春にハンファの臨時コーチを務めていた。記事によれば「強いチームの条件の1つとして先発がどれほど長いイニングを投げることができるかが挙げられる。それができれば守備陣も守りやすくなり、リリーフの負担も軽くなってチーム力も向上する」と力説していたという。

 こうした完投数の差を示す中で同メディアは「日本の先発投手の完投能力の高さは国際大会やメジャーリーグで活躍できる要因となっている」と分析。また、韓国の「KBSNスポーツ」の野球解説者、イ・ヨンチョル氏は「日本の投手は下半身の使い方が上手く、投球数が多くても長いイニングを投げることができる。その一方で韓国の投手は明らかに完投する投手が不足している」と話している。

 韓国リーグは外国人投手に頼りがちで投手の主要タイトルの上位が助っ人で占められることが多い。韓国人投手の成長課題となる中、今季は1人でも多くの完投投手を増やすことが今後の国際大会で勝ち抜いていくためのカギになるのかもしれない。

(細野能功 / Yoshinori Hosono)

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