カネミ油症被害者ら兵庫で集会 カネカの責任検討へ

 長崎県など西日本一帯で発生したカネミ油症の被害実態や原因物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)について考える集会が14日、兵庫県高砂市であった。被害者らは、PCBを製造していたカネカ(旧鐘淵化学工業)の高砂工業所敷地内にあるPCB汚泥盛立(もりたて)地も見学。油症やPCB汚染におけるカネカの責任についてあらためて検討することを確認した。

 カネミ油症被害者支援センター(YSC、東京)などでつくる実行委主催。集会には、県内や関西、関東など全国の被害者ら約40人が参加した。

 カネミ油症事件は、カネミ倉庫(北九州市)製米ぬか油の製造過程で熱媒体のカネカ製PCBが混入し、1968年10月に発覚。油を食べた人は多様な健康被害に見舞われた。過去の民事訴訟では、カネミ倉庫だけ敗訴が確定しており、認定患者の医療費などを負担。一方、カネカは恒常的救済策を講じていない。

 集会で、YSC共同代表の大久保貞利さん(68)はPCB汚泥盛立地について「一時的な仮置き場としていたはずだが、無害化処理をしないまま恒久的に残すのは無責任」と報告。油症について「カネカはカネミ倉庫にPCBの危険性を十分に説明しないまま大量に売った」と強調した。

 被害者は9人が思いを語り、高知市の未認定患者、中内孝一さん(46)は「PCBの被害で差別を受け、苦しんだ。盛立地を見学し、複雑な気持ち。食品を扱う企業に猛毒(のPCB)を売ることなど本来はあり得ない」とカネカへの怒りを語った。

(2017年10月15日掲載)

PCB汚泥盛立地(左)を見学するカネミ油症被害者ら=兵庫県高砂市

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