カネミ3者協議 救済要望に国「難しい」 被害者との溝埋まらず

 カネミ油症の被害者団体と国、原因企業のカネミ倉庫(北九州市、加藤大明社長)が救済策について意見を交わす第7回3者協議が16日、福岡市内であった。前回、被害者側が提出した新認定患者の救済など8項目の要望について、国はほとんどの項目への対応は「難しい」と回答。国の消極姿勢が目立ち、今回も被害者側との救済策をめぐる溝は埋まらなかった。

 協議は非公開で、11団体が出席。要望の一つ、「生活の質の向上」に関して厚生労働省は、前回支援策として示した「油症相談支援員」を配置することで対応すると報告した。同省担当者は取材に対し、ほか7項目は困難との見方を示し「できることは随時やっていく」と述べるにとどめた。

 また、油症検診の結果を経年で記録する「検診手帳」を厚労省が認定患者に交付するとしている点について、何の優遇措置もないことから、被害者側が「手帳とは大げさ」などと指摘。厚労省は名称変更を検討するとした。

 一方、カネミ倉庫側は昨年9月までの1年間で患者への医療費支払いが1億円を超えたことなどを報告。加藤社長は取材に「わが社でできるのは1億円がぎりぎり」と答え、経営難を強調した。

 カネミ油症被害者五島市の会の宿輪敏子事務局長は「要望内容は被害者救済法にのっとったものなのに国からは『検討する』の言葉すらなく残念。今後の協議がどう進むのか不安だ」と話した。

(2016年01月17日掲載)

3者協議で、救済策について消極的な回答に終始した厚労省担当者ら(奥)=福岡市博多区、福岡第2合同庁舎

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