カネミ3者協議「国は依然事務的」 被害者団体、聞き取り求める

 カネミ油症の被害者団体と国、原因企業カネミ倉庫(北九州市、加藤大明社長)が意見を交わす第8回3者協議(非公開)が2日、福岡市内であった。被害者側は救済措置拡大などを求めたが、国や同社の消極姿勢は変わらず、大きな進展は見られなかった。カネミ油症被害者五島市の会の宿輪敏子事務局長は取材に対し「国は依然事務的で、患者に寄り添っていない。今後の協議は公開すべきだ」などと訴えた。

 厚生労働省などによると、油症相談支援員を本県など4県と九州大の計5カ所に配置したこと、油症受療券を利用できる医療機関が6月時点で全国393機関に増えたことを報告したという。しかし、被害者側が望む医療費拡充や診断基準見直し、次世代救済などについては進展なし。被害者側は、次世代を含む被害把握のための聞き取りを強く求めたという。

 取材に対し同省担当者は「聞き取りは現在のところ考えていない」、診断基準見直しについては「最低限の科学的根拠が必要。少なくとも現状では難しい」とした。

(2016年7月3日掲載)

被害者側が被害把握のための聞き取りなどを求めた3者協議=福岡市博多区、福岡第2合同庁舎

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