「1対1で存在感を」FC東京から古里V長崎へ DF徳永悠平(34)

 長崎県雲仙市国見町で生まれ育ったJ1選手が、FC東京から加入する。元日本代表のDF徳永悠平(34)。V長崎からオファーを受けたとき、心が躍った。ただ、03年春の早大時代、特別指定選手として入って以来、14年間お世話になったFC東京を離れることになる。悩みに悩んだが、「いつか長崎でプレーしたい。そんな気持ちがプロになる前から漠然とあった。タイミング的に今しかない。帰りたい思いが上回った」

 V長崎のことはチーム発足当時から気になっていた。結果はいつも確認していたし、入団を決めた後は全試合の映像を見ている。「全員がハードワークしていて、チームとしてまとまっている。そして、最後まで諦めない」。17年シーズン、劇的な勝利を重ねてJ1に上り詰めた古里のクラブに、胸を熱くしていたという。

 国見高の先輩でもある高木琢也監督(50)の印象は「偉大な人」。一緒に戦うことを楽しみにしている。チーム内になじみの選手は少ないが、早大の後輩にあたるMF島田譲(27)のプレーはとくに意識してチェックするようにしていた。

 初の移籍。「人見知りなんで、どうやって(チームに)入っていこうかと。仲良くなればがっつりいけるけど、最初は不安」。まずは近々始まる沖縄キャンプでコミュニケーションを取りたいと考えている。

 ピッチ上で一番こだわってきたのは「1対1の守備」。どんな戦術でも、その重要性は不変だ。J1はJ2より能力の高い選手が多い。当然、押し込まれる試合が多くなるだろう。「体を張り、相手をしっかり抑えることが自分に求められている。対人の強さで存在感を示したい」

 もう一つの武器は「経験値」。これまでJ1で359試合に出場した。V長崎が初めて戦う相手の特徴や攻略法、リーグ戦とカップ戦が同時並行で進む過密日程時の過ごし方-。「情報を少しでも伝えていくことが自分の役割でもある」

 個人的な目標はない。「チームのためにプレーする。しっかり長崎のサッカーを理解し、自分の力を最大限に発揮できれば」と抱負を語る。

 これからは家族や旧友と過ごす時間が増えるだろう。好きな食べ物は皿うどん。細麺派だ。「ホームゲームで勝てば、チームは勢いづく。自分たちも期待に応えられるようなプレーをするので、一人でも多くの人にスタジアムに来てほしい。そして一緒に盛り上げてほしい」。長崎のファン、サポーターにメッセージを送った。

「長崎を盛り上げたい」と語る徳永=東京都江東区、FC東京本社

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