高校生平和大使をノーベル平和賞候補に 推薦状 20日送付

 核兵器廃絶を求める署名を毎年夏に国連へ届けている「高校生平和大使」をノーベル平和賞の候補に申請しようと、大使の経験者や支援者でつくる実行委員会が、推薦資格を持つ与野党の国会議員23人の推薦状を取りまとめ、ノルウェーのノーベル賞委員会へ20日に送付することが、6日分かった。1998年から20年間にわたり活動している平和大使の実績を世界にアピールし、核廃絶の機運を高めることが狙い。

 実行委は、昨年春から推薦に向けた本格的な準備を開始。推薦資格を持つ国会議員に賛同を呼び掛け、本県選出の4人を含む計23人(衆院議員12人、参院議員11人)が推薦人に名を連ねた。推薦された個人や団体は候補となる。

 ノーベル賞委員会に提出する推薦書には、平和大使が被爆地の悲惨な経験を世界に伝え「核兵器の非人道性」を訴えているほか、国連へ届けた署名数が累計167万7212筆に達したと紹介。「唯一の戦争被爆国の若者は、人類の未来のために活動をしてきた」とし、平和賞にふさわしい功績があるとした。実行委メンバーで、第4代大使の嶋田千佐子さん(34)は「申請までこぎ着けてうれしい。歴代の高校生がつないできた思いが一つの形になる」と述べた。

 昨年の平和賞は、核兵器禁止条約の採択に尽力した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が受賞。市民団体「高校生平和大使派遣委員会」の平野伸人共同代表は「平和大使が平和賞の候補になれば、核廃絶の機運を後押しできる。そのためにもしっかり活動を続けたい」と話している。

◎ズーム/高校生平和大使

 1998年、長崎の高校生2人が反核署名を携え、米ニューヨークの国連本部を訪ねたのが始まり。市民団体「高校生平和大使派遣委員会」が毎年、被爆地の長崎や広島を中心に公募し、これまでに17都道府県の高校から計約200人が就任。2000年以降はスイス・ジュネーブの国連欧州本部へ署名を届け、海外では「ピースメッセンジャー」として知られる。

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