地政学リスクの多様化と2018年の展望 米国や中国の動向、独立運動など注目

混沌とする今、再び地政学に注目(出典:写真AC)

地政学・地政学リスクとは

地政学は古くからある学問であり、特に19世紀から20世紀初頭においては、盛んであった。例えば、英国の地政学の祖とされるハルフォード・マッキンダー(1861~1947)は人類の歴史を海の力(Sea Power)と陸の力(Land Power)とのせめぎあいの歴史とし、英国とモンゴル帝国をその例に挙げている。つまり、陸上での馬、徒歩等による移動と海上の船での輸送の二元的な比較を基にしている。また、ユーラシア大陸を制するにはHeart Landとされる東欧を制することであると説き、このことがナチスドイツによる第二次世界大戦の勃発につながったとされている。

しかしながら、第二次世界大戦以降、陸上輸送が急速に拡大し、戦争においても、航空戦力、ミサイル戦略が登場すると、地理的状況が地域・国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響が限定的となったことから、急激に衰退した学問であった。

それでは、地政学リスクという言葉は、いつ誕生したのか。実際には2002年9月24日の米連邦準備制度理事会(FRB)のプレスリリースが最初とされている。このリリースの中で、FRBは「地政学的リスクの高まりに伴い、期待される生産及び雇用の伸びの程度およびタイミングについては、大きな不確実性が残っている」としている。この時期は、2001年9月11日の米国同時多発テロ事件、翌月(2001年10月)から始まったアフガニスタンへの武力行使を経て、イラクの大量破壊兵器保有の疑惑が取りざたされ、翌年(2003年)3月から始まるイラクへの武力行使が確実な状況となっている時期にリリースされたものである。そのため、比較的新しい地政学リスクという言葉の定義は様々であり、確たる定義はない状態である。

世界経済フォーラムの地政学リスク

当初は曖昧であった地政学リスクはその後肉付けされ、今日に至っている。代表的な定義として、世界経済フォーラムが2017年1月に発表した「Global Risks Report 2017」では、地政学リスクとして、下記の6つのリスクを挙げている。

(A) 国家統治の崩壊(例:法の支配の崩壊、腐敗、政治的な行き詰まり等):法の支配の低下、腐敗、政治的な行き詰まりにより、国家統治の機能が不安定化する。

(B) 地域的・国際的な統治機能の崩壊:地域・国際的機関が経済的、地政学的、又は環境的な重要な問題を解決出来ない。

(C) 国家間の地域紛争:二国間又は複数国間の紛争が経済的(例:貿易・通貨戦争、資源の国有化等)、軍事的、サイバー空間内、社会的等の紛争に発展する。

(D) 大規模テロ攻撃:大規模な人的・物理的被害をもたらす政治的・宗教的目的を持った個人又は非国家組織によるテロ。

(E) 国家の崩壊又は危機(例:内乱、軍事クーデター、国家の失敗等):暴動、地域的・国際的不安定化、軍事クーデター、内乱、国家の失敗等に伴う地政学的な重要な問題による国家の崩壊。

(F) 大量破壊兵器:原子力、化学、生物、放射線の技術及び材料の進歩・拡散による国際的に重大な破壊につながる危機及び潜在性。

近年における地政学的動向

近年の世界情勢においては、全世界的に政治、経済、社会情勢が流動化しているという点は明らかである。詳細は省くが、具体的には下記のような地政学的な傾向を見出すことが出来る。

(ア) グローバリゼーションの進展

・全世界的に経済的、社会的な結びつきが拡大している。そのため、人・もの・金・情報・サービスが短時間で移動、共有が可能となっており、企業のビジネスモデルも変化しつつある。

・ 一方で、ICTの劇的な進展に伴い、波及するリスク(サイバーセキュリティ、風評リスク等)が拡大している。また、人が短時間で移動することが可能となっていることから、感染症のパンデミックのリスクも高まっている。

(イ) 世界的な格差の拡大

・ 世界的に格差が拡大する傾向となっている。この背景として(ア)のグローバリゼーションの進展を挙げる専門家も多い。一般的に格差の指数であるジニ係数が0.4を超えると社会が不安定化するとされているが、新興国の多くで0.4を超えている状況である。このことは、多くの新興国で社会が不安定化する要素を内包していることを示している。先進国でも格差の拡大が顕在化しており、例えば、米国は0.450、シンガポールが0.464(いずれも米中央情報局発表のCIA The World Factbookによる)となっている。

・格差拡大については、英国に本部置く国際協力団体Oxfam Internationalが2016年1月18日に発表したレポート「An Economy for the 1%(1%のための経済)」で、衝撃的な内容が記載されている。それによれば、世界で最も裕福な62人の総資産は、世界の下位半分(36億人)が所有する総資産とほぼ同じであり、2010~15年にかけて、世界の人口が4億人増えたが、世界の貧困層の総資産は約1兆ドル減少(41%減)したとされている。一方、世界で最も裕福な62人の総資産は、同時期に約1.76兆ドル増加(44%増)したとされており、格差の拡大が世界規模であるとしている。

(ウ) 欧州諸国等における右傾化

・2017年5月7日に行われたフランス大統領選挙の2回目の投票では、EU残留派のエマニュエル・マクロン氏が、極右政党の候補者に大差で勝利する結果となった。2016年6月の英国でのEUに関する国民投票でEU離脱派が勝利し、米国では2016年11月に米国第一主義を標榜するトランプ氏が当選する等、世界的に右傾化が進展する中で、このフランス大統領選挙結果について、多くのメディアが、極右勢力は退潮しているとの論調を展開した。

・しかしながら、2017年9月24日に実施されたドイツ連邦議会選挙、同10月15日に実施されたオーストリア国民議会選挙、10月20~21日に実施されたチェコの下院議会選挙において、極右政党が大躍進する結果となった(オーストリアでは極右政党が政権与党となり、欧州において外国人 (移民)排斥・民族主義的を標榜する政党が政権与党となっている国は、ポーランド(法と正義:PiS)、スイス(国民党)、フィンランド(真のフィンランド人)、ノルウェー(進歩党)、オーストリア(オーストリア自由党:FPO)の5ヶ国となった)。

(エ) 地域紛争の増加と難民の増加

・国連等の国際機関の紛争解決、平和維持に関する機能は明らかに低下している。例えば、1946年以降の世界の地域紛争のデータを収集しているスウェーデンのウプサラ大学のウプサラ紛争データプログラム(UCDP:Uppsala Conflict Data Program)によれば、武器を用いた地域紛争はリベリア内戦、ルアンダ紛争、湾岸戦争、ユーゴスラビア内戦、ソマリア内戦等が発生した1990年に50件を超え、ピークを迎えた。その後、徐々に減少したものの、2013年以降増加に転じ、2015年に再度50件を超え、2016年もほぼ同様の水準となっている。

・これに伴い、難民も増加している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が2017年6月19日に発表した報告書によれば、2016年末時点の避難民の合計は過去最高の6560万人に達したとしている。現状においても、最大の避難民の出身国であるシリア情勢の収束は全く見えない状況から、今後の増加の可能性も否定出来ないと言える。

(オ)世界的な大衆迎合主義的な政策の増加

・テロの頻発、難民・移民の流入、格差の拡大、失業率の高止まり等の状況になった場合、社会不安が醸成される事に伴い、大衆迎合的な政策を掲げる政党への支持が高まる傾向が見られる。

・特に、(ウ)に挙げた欧州では、その傾向が顕著であり、「大衆迎合的な政策」→「極右政党への支持拡大」→「外国人排斥等の風潮の助長」→「テロ脅威の拡大」→「・・・」というように、悪循環となっている。

(カ) 一部国家における言論統制・報道検閲の限界

・新興国の多くでは、言論・報道の自由が極端に制限されていることから、一般市民が政府の発表する情報を信用せず、それよりも口コミ、うわさを信用する傾向が強く、そのことが風評リスクを誘発するケースも少なくない。

・しかしながら、そのような状況も徐々に変化する可能性がある。例えば、言論・報道の自由が制限されている中国では、インターネット利用者が7億人以上、携帯電話加入者が13億人以上と言われており、厳格な検閲下であっても、中国国内では中国政府・中国共産党への批判を含め多くの情報が飛び交い、政府による言論統制・報道規制が効かなくなっている兆候も見られる。

(キ) 人口増加と都市化の進展
・自然災害とは人に被害を与える災害であることから、近年の世界的な人口増加傾向、都市化傾向に伴い、自然災害は増加している。特に、人口増、内陸部から沿岸部への人口移動、都市化の進行等が顕著である新興国において、河川の河口地域の水はけが悪化しており、新興国を中心に洪水(内水型洪水)のリスクが大幅に拡大している。

・また、新規の感染症も含め、感染症リスクは今後も大きなリスクとなると予測される。感染症拡大の要素としては、病原体・宿主・感染経路の3点があるとされている。世界的に衛生状況は改善されているが、人口増、グローバル化の進展に伴い、感染経路が多様化し、宿主要因も多様化している。また、日々進化をする病原体(ウィルス)の要素を加味すると、今後も世界的な感染症リスクの顕在化は不可避であると言える。

(ク) 宗教対立の先鋭化

・近年における民族・宗教の問題は深刻である。特に、イスラム教と他の宗教との対立は頻発している。例えば、中国(新疆ウィグル自治区)、東南アジア(フィリピン/タイ・マレーシア国境地帯)、南アジア(インド・パキスタン/ミャンマー・バングラデシュ国境地帯)、中東(トルコ・アルメニア国境地帯)、南コーカサス、アフリカ(北緯10度線を挟んでのイスラム教・キリスト教の対立)等々がある。

・また、イスラム教の中での宗派対立(スンニー派⇔シーア派等)の対立も先鋭化している。特に中東においては、スンニー派・シーア派の対立が過激化しており、シリア・イラク・イラン・トルコにおいては、複雑化している状況である。

・さらに、イスラム国(IS)に代表される過激派と穏健派との対立もアフガニスタン、ソマリア、イエメン、リビア、ナイジェリア等でも続いており、解決の糸口は見えない。そのため、今後も世界各地で地域紛争が増加するものと言える。

(ケ) ナショナリズムの高揚(民族独立へのインセンティブ)

・1990年代初頭の旧ソ連の崩壊後、民族・宗教問題が高揚しており、(ク)のような状況が現出しているが、近年では、その傾向が顕著である。例えば、中東では長年にわたり、クルド人の独立の問題が存在している。クルド人の人口については、明確な統計はないが、既述のThe World Factbookでは、約3000万人がトルコ、イラン、イラク、シリアの国境地帯に居住しているとされ、国家を持たない世界最大の民族とも称されている。

・このクルド人の独立問題が近年、活発化している。その要因の一つがIS制圧における実働部隊の主力をクルド人が担っているためである。現状、IS制圧については、シリア、イラク、イランのそれぞれの政府が一部協力しながら、進められているが、クルド人部隊は米国、ロシアからも間接的に支援を受けているとされており、イラク国内のクルド人地区は高度な自治が実現している。それを更に広げ、クルド人国家樹立を目指している。

・2017年9月25日に実施されたクルド独立の住民投票は賛成がほとんどを占めたが、周辺国、米国等の反対により、立ち消えの状況である。また、10月1日に実施されたスペイン北東部のカタルーニャ州でも圧倒的多数で賛成派が勝利、同州議会が独立を宣言したが、中央政府は同州議会を解散し、自治権停止させた他、自国内に同様の問題を抱える数多くのEU加盟国は静観している状況であり、今後の展開は見えない。

・しかしながら、ナショナリズムの高揚は大きく拡大しており、英国のスコットランド独立問題、イタリアにおける北部州独立問題、ベルギーにおけるオランダ語圏とフランス語圏の対立問題等、欧州においても、今後大きな問題として、続くとみられている。

(コ) ISの崩壊に伴う中東情勢の混迷化

・現状の中東情勢は混迷化しているが、ISの事実上の崩壊に伴い、更に混迷化を深めている。シリアのアサド政権を支援するイラン、ロシア、その反体制派を支援するサウジアラビア等の湾岸諸国、IS制圧の実働部隊を支援するロシア、米国、それにISがこの地域でせめぎあっていた。アサド政権とISの両方の崩壊を望むトルコ、イエメンンを舞台としたサウジアラビアとイランの代理戦争等、複雑怪奇な状況が続いている。

・今般ISが崩壊し、クルド人の独立問題も相まって、更に混迷化が加速している。この状況は、かつてのパレスチナ問題、レバノン内戦にもみられる「モザイク」化の様相を呈しており、パレスチナ問題が遅々として進まず、レバノン内戦が約15年(1975~90年)続いたことを考えても、長期化は避けられないと言える。

(サ) Homegrown Terrorist / Lone Wolf Terrorist / Returned IS等による新たなテロ脅威

・米国ワシントンに本部を置く非政府組織であるPew Research Center(PRC)の2017年2月28日の報告書によれば、2070年には世界のイスラム教徒人口がキリスト教徒人口を上回るとしている。

・2015年1月1日現在、EU28カ国には17.4%の外国人が居住しているとされており、その約半分近くがイスラム教とされている。これら移民の多くがイスラム教徒であることから、欧州においても、今後のイスラム教徒人口増加は確実な状況である。

・当然ながら、ほとんどのイスラム教徒は穏健で平和的であるが、過激なイスラム原理主義に傾倒する比率がほんの一部であったとしても、それなりの絶対数が存在するのも事実である(ちなみに、神の前の平等という点が明確なイスラム教へ改宗するケースも増加している。英国BBCによれば、英国内で2001~11年にかけて、10万人がキリスト教からイスラム教に改宗したとされている。また、フランスでは最近数年間で7万人以上、ドイツも最近数年間で2万人以上がキリスト教からイスラム教に改宗したと言われている)。

・この他、ISに賛同し、世界中から参加した戦闘員は約4万人とされている。戦闘員の出身国としては、チュニジア、サウジアラビア、ヨルダン、モロッコ、トルコ、リビア、エジプト、イラク、インドネシア、パキスタン、ウズベキスタン、レバノン等のイスラム教徒が多数を占める国の他、ロシア、フランス、ドイツ、英国等でも500人以上が戦闘員としてISに参加していると見られている。一部報道によれば、今般のISの本拠地壊滅に伴い、既に5000人以上が出身国に帰還したとも報じられており、今後これら帰還した者によるテロが懸念されている。

軍事面など2018年も米・トランプ大統領から目が離せない(出典:Flickr)

2018年の地政学リスク予測

近年の地政学的動向を勘案した場合の2018年に顕在化する可能性の高い地政学リスクは、以下の通りである。

(1)米国による武力行使・戦争行為の可能性の高まり【(B) (C) (F)+(ウ)(オ)】

・現状でのトランプ政権における相次ぐ閣僚の辞任や、ロシアゲート問題等により、公約を具体化する政策がほとんど成立していない状況である。そのため、2018年の中間選挙に向け、何かしらの実績を誇示する必要性が生じている。

・同じような状況で、武力行使に至ったブッシュ大統領(第41代)による湾岸戦争、息子のブッシュ大統領(第43代)による対アフガニスタン、対イラクへの武力行使等の前例もあり、現状のトランプ政権の中枢に軍部出身者が多いことからも、武力行使・戦争行為の可能性を高めている。

(2)中国の政権の安定化と拡大主義【(B)(C)+(エ)(オ)(ケ)】

・中国では2017年の共産党大会において、習近平政権が長期的な安定政権となることが確実となった。そのため、習近平政権が掲げる「中華民族の偉大なる復興」のため、領土的拡大政策が加速するものと見られる。

・香港・マカオに対する引き締め、台湾に対する強硬姿勢の他、南シナ海進出が加速・拡大する可能性が高い。当然ながら、台湾、フィリピン、マレーシア、ベトナム等の反発も強いことから、この地域が不安定化する可能性が高い。

(3)世界中でのテロの頻発(欧州・米国・カナダ・日本・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール等の先進国でも発生する可能性)【(D)+(ア)(イ)(ウ)(オ)(ク)(コ)(サ)】

・現状でも過激なイスラム原理主義に触発されたと見られるテロが世界中で頻発している。特に、欧州、米国等でのテロが注目されているが、ISの本拠地が崩壊したことにより、今後、先進国でのテロの可能性が高まっていると言える。

・特に、これからは、これまで発生していない先進国、EU諸国の他、日本、ニュージーランド、シンガポールでも、その可能性は否定出来ないと言える。

(4)極右・移民排斥の拡大【(A)(B)(C)+(イ)(ウ)(エ)(オ)(ク)】

・既述の通り、最近の難民の増加等、今後も欧州を中心に大衆迎合的な政策を基に、移民排斥等の傾向が強まることが懸念されている。また、米国においても、その傾向が見られることから、先進国の多くで、そのような傾向が続く可能性が高いと言える。

(5)地域独立運動の拡大【(A)(B)(E)+(イ)(ケ)】

・ナショナリズムの高揚、所得格差等の要因から独立の機運が高まっている地域が増加している。既述のクルド人地域、スペインのカタルーニャ州、英国のスコットランド独立問題、イタリアにおける北部州独立問題、ベルギーにおけるオランダ語圏とフランス語圏の対立問題の他にも、カナダのケベック州、中国のチベット自治区、新疆ウィグル自治区等、枚挙に暇がない状況である。

・今後、これらの地域を中心に独立運動が更に高まり、当該国の政治的、社会的に不安定化する可能性が高いと言える。

(6)統治機能が欠如した国の増加【(A)(E)+(ア)(エ)(カ)(ク)(ケ)(サ)】

・現在、統治機能が欠如している国としては、アフガニスタン、イエメン、ソマリア、リビアの他、現状でもISが支配しているシリア、イラクの一部等が挙げられるが、その全てにおいて、イスラム教徒の武装集団同士の武力衝突が発生している。

・これら地域での武力衝突等が収束する可能性は低いため、今後もこの状況が続くことが懸念されている。また、相対的に国の統治機能が低い北アフリカ諸国でも、統治機能が欠如又は崩壊する可能性のある国が多数あることが懸念される。また、現状では比較的、内政が安定している国でも、「アラブの春」のような可能性は否定できない。

(7)中東が世界の火薬庫【(B)(C)+(エ)(ク)(ケ)(コ)(サ)】

・第一次世界大戦前のバルカン半島は多くの民族問題を抱え、「世界の火薬庫」と呼ばれ、実際第一次世界大戦勃発の原因となった。現状においては、IS崩壊後の中東地域が同様の状態となっている。

・特に、米国、ロシア、イラン、サウジアラビアと言った大国が関与している状況での共通の敵であるISの崩壊に伴い、この地域がモザイク化し、火薬庫化しているとも言える。

(8)東アジア情勢の流動化【(A)(B)(C)(E)(F)+(エ)(オ)】

・北朝鮮による核実験、長距離弾道ミサイル実験等に対し、国際社会の対応は一貫性を欠いており、この問題の収束には、なお、多くの時間を要する可能性が高い。

・一方で、トランプ政権は対北朝鮮に関し、全ての選択肢があると明言していることから、予断を許さない状況であると言える。

(9)イスラムに関する国際社会のナーバスな反応の広がり【(D)+(ア)(ウ)(エ)(オ)(ク)(ケ)(コ)(サ)】

・パレスチナ問題に代表されるように、イスラム教徒と他宗教との対立問題に対するイスラム諸国の反応は明快である。今年も、ミャンマーのロヒンギャ問題に注目が集まったように、今後もイスラム教徒が虐げられているとの情報には、国際社会も敏感になると言える。

(10)資源紛争【(B)(C)+(ア)(イ)(エ)(オ)(キ)(ケ)】

・これまでも天然資源をめぐり、アフリカ、中東では国家間紛争、内戦等が発生している。特に、石油等の鉱物資源のめぐる紛争が多いが、今後は水資源をめぐる紛争が発生する可能性が高い。

・現状において、水資源の問題は世界的な問題となっており、今後、アラル海流域、ガンジス川、ナイル川、ユーフラテス川等の水資源をめぐり紛争の可能性が否定出来ない状況である。

※「企業リスク」 2018年1月号掲載

(了)

 

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