「はれのひ」16年から支払い滞り 神奈川県警捜査へ

 振り袖の販売・レンタル業者「はれのひ」(横浜市中区)が突然営業を取りやめ、成人の日に晴れ着を着られない新成人が相次いだ問題で、県警に9日夕までに少なくとも160件の相談が寄せられていることが分かった。関係者への取材で、はれのひが着物を仕入れていた業者への支払いが2016年10月ごろから滞っていたことも判明。県警は詐欺容疑などでの立件も視野に入れ、経営実態を調べる。

 県警によると、被害額は十数万から数十万円。被害総額は数千万円に上るとみられる。

 県内各地の消費者トラブルの窓口にも相談が同日夕までに少なくとも計約160件あった。県内の関係機関のほか、警視庁などにも寄せられている。

 県警や各地の消費生活センターなどによると、今年の成人式に関わる相談以外にも「来年(の成人式)用に80万円の着物を購入し、40万円支払った」「(今年)3月の卒業式用と2年後の成人式用の金を支払った」など来年以降に関する相談が寄せられている。

 また、成人式当日以前からトラブルが続発。着付けができなかった新成人からは、ダイレクトメールなどで小物のプレゼントなどの特典を知って申し込んだものの、「プレゼントが届いていない」「前撮りしたアルバムの到着が3カ月遅れた」など経営をいぶかしむ声が複数上がった。

 一方、はれのひからの支払いが滞り、着物を納入していた京都府内の業者が取引を停止していたことも関係者への取材で明らかになった。

 関係者によると、取引停止後、滞納分の支払いはあったが、はれのひ側が「当座の現金がない」との理由で徐々に支払いを減額。未納分は1千万円以上に上るといい、関係者は「社長や会社に連絡が付かず、お手上げ状態だ」と話した。

 東京商工リサーチ横浜支店によると、はれのひの負債総額は16年9月期時点で約6億1千万円。同期の売上高は一部求人サイトなどで4億8千万円としていたが、実際は3億8千万円で、当期利益は3億6千万円の赤字だった。同期末で約3億2千万円の債務超過に陥っていた。

 また「資本金1千万円」と公表していたが、今月9日時点の商業登記簿では150万円だったという。同支店は「売上高や資本金を大きく見せることで、信用性が良く映るよう見せ掛けていたとみられる」としている。

 9日も横浜市中区の本社や店舗は無人とみられ、応答はなかった。同市は同日、市消費生活条例に基づく立ち入り調査のため店舗などを訪れたが、従業員らが不在で実施できなかった。

© 株式会社神奈川新聞社