弥生期の瓦質土器に「周」の文字  壱岐・カラカミ遺跡 中国から流入か

 長崎県壱岐市教委は9日、同市勝本町の弥生集落「カラカミ遺跡」から出土した約2千~1700年前の弥生時代後期のものとみられる瓦質(がしつ)土器に「周」という文字が刻まれていることを確認したと発表した。出土品は文字の半分が欠損した破片で中国製とみられる。弥生時代の瓦質土器に文字が刻まれていることが確認されたのは国内で初めて。

 市教委によると、土器は縦7・5センチ、横8・8センチ、厚さ4ミリ。鉢の一部とみられる。端に「周」の文字の約半分が刻まれており、金属製のもので削ったと判断した。  昨年7月から12月までの発掘調査で鉄製品や骨製品とともに出土した。復元した土器の形状などから中国の遼東郡と呼ばれていた地域から持ち込まれたとみられる。「周」は当時、中国で国名としては存在しておらず、人名として記された可能性があるという。

 市内ではこれまで、遼東系の瓦質土器のつぼが原の辻遺跡で出土していた。鉢が出土したのはカラカミ遺跡が初となる。

 市教委は、弥生時代の日本には文字文化がなかったが、土器に記された文字は存在していたことを裏付ける資料として価値があるとしている。

「周」の文字の一部カラカミ遺跡で出土した「周」の文字が刻まれた瓦質土器の一部

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