高炉3社の17年安全成績、死亡災害3年ぶり減少 発生頻度の改善は足踏み

 高炉大手3社の2017暦年(1~12月)の安全成績(速報、鉄鋼部門のみ、協力会社含む)がまとまった。製鉄所内での労働災害の発生件数は前年比2件増の58件、災害による死者数は同6人減の3人だった。死亡災害は3年ぶりに減少に転じたが、依然として撲滅には至っておらず、重篤な災害を未然に防ぐための安全対策が引き続き大きな課題となる。

 休業災害の発生頻度を示す度数率(100万労働時間当たりの休業災害件数)は高炉3社平均で0・17と前年比で横ばいだった。15年以降続いてきた改善が足踏みした格好だが、直近で最悪だった06年(度数率0・40、休業災害件数114件)比では発生頻度が減少傾向にある。各社とも災害の発生状況を踏まえて直協一体の安全対策を徹底する方針。

 企業別に見ると、新日鉄住金の休業災害件数は前年比3件増の28件(直営15件、協力会社13件)だった。この結果、度数率は0・14となった。前年の0・13からわずかに後退したが高炉3社の中では最良だった。度数率の悪化は3年ぶりとなる。

 一方、新日鉄住金の製鉄所内での死者数は協力会社の1人だった。前年比で6人少ない。新日鉄住金は16年に死亡災害が多発したことを受け、17年を「安全体質特別強化年」に位置付け、ソフトとハード両面で安全対策を強化してきた。一定の成果が現れた形になる。今後は取り組みの定着にさらに力を入れる方針だ。

 JFEスチールは休業災害件数が前年比4件減の18件(直営4件、協力会社14件)、度数率は0・17と前年の0・21から改善した。一方、死者数は前年と同じ2人となり、内訳は直営社員1人、協力会社社員1人だった。

 神戸製鋼所は休業災害12件(直営7件、協力会社5件)で前年より3件増えた。度数率は0・33(前年は0・25)。死者は2年連続でゼロだった。

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