DOWAメタルテック、銅―グラファイト複合ベースプレート開発 高熱伝導性と低熱膨張性両立

 DOWAホールディングスは9日、子会社のDOWAメタルテックが、韓国のグッドシステム・コーポレーションとの共同開発により、高出力半導体モジュール用放熱素材である銅―グラファイト複合ベースプレートの工業化に成功し、サンプル出荷を開始したと発表した。従来のベースプレートと比べ小型化・軽量化が可能となるほか、熱膨張性も低減した。次世代の移動体通信方式「5G無線通信用RFモジュール」に搭載されることで、携帯基地局や周辺通信機器などへの採用が期待される。また、電気自動車およびハイブリッド車に搭載されるIGBTモジュールなどへの応用も検討されている。国内販売はDOWAメタルテック子会社の豊栄商事が行う。

 DOWAメタルテックは、共同開発により、グラファイト粉末を銅でコーティングし焼結する独自製法によって二つの素材の大量かつ均一な混合を実現し、鱗片状グラファイトを狙い通りに配向させることを可能とした。銅―グラファイト複合ベースプレートは、この銅―グラファイト粉末を銅―モリブデン合金で仕切られた内部に充填した構造とすることで熱膨張性を低減。また、面方向の熱伝導性を確保しつつ、厚み方向の熱伝導性も向上し、半導体の効率的な冷却を可能とした。従来のベースプレート(40銅―60モリブデン合金)と比べ熱伝導率は69%向上し、37%の軽量化が図れる。

 近年ますます高速化、大容量化が進む情報通信分野などにおいて使用される高出力半導体モジュールは、パッケージ面積当たりの出力および搭載チップ数が増加傾向にあるため、発熱量が増える傾向にある。このため、高出力半導体モジュールに使用されるベースプレートは従来よりも優れた高熱伝導性と低熱膨張性の両立が求められる。従来のベースプレートは、純銅と銅―モリブデン合金との積層構造が一般的で、ベースプレートの厚み方向の熱伝導性を高めるためには純銅層の比率を高める必要があるが、純銅は熱膨張性が大きいために他素材との熱膨張差によってベースプレートが実装時に反ってしまうという課題があった。

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