千寿庵・長崎屋 準グランプリ 幸四郎さん襲名祝う和菓子 

 歌舞伎俳優の十代目松本幸四郎さんが審査した創作和菓子のコンテストで、長崎市新大工町の「千寿庵 長崎屋」取締役の井上正和さん(75)の作品が準グランプリに輝いた。

 11月の審査時は市川染五郎を名乗っていた。2日の幸四郎襲名を祝い、和菓子の持つ豊かな創造性を発信しようと、味の素AGF(東京)が主催。歌舞伎座での襲名披露公演の演目で、源義経と弁慶の絆を描いた「勧進帳」から、応募者が四つの場面を選び、それぞれを和菓子で表現する。全国56店から応募があった。

 井上さんの4作品のうち「安宅(あたか)への旅路」は、黒糖の寒天が、兄の源頼朝に追われて逃げる旅の厳しさを、緑と透明の寒天が、旅路の先に待つ希望を表現している。「弁慶の杖(つえ)」は、関所の役人を欺くために無礼を働いた弁慶が義経にわびる場面を再現。練り切り餡(あん)を淡い水色とピンクに着色し、弁慶の涙と義経の心の温かさを表した。

 技術力や表現力の高さが評価されたという。井上さんは「50年以上菓子作りに励んできた中でも、心の動きを形にするのは難しい挑戦だった。物語をイメージしながら、楽しんで食べてもらえたらうれしい」と話している。

 井上さんの全4作品と味の素AGFのコーヒーのセット(税抜き1720円)は「千寿庵 長崎屋」で2月中旬ごろまで販売予定。

千寿庵 長崎屋の受賞作品

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