薄板CCの秋津鋼材、2直交代にシフトアップ クラッド鋼板、月産500トンに拡大

 薄板コイルセンター(CC)の秋津鋼材(本社・奈良県大和郡山市、社長・北雅久氏)は、今年1月から生産体制を2直交代にシフトアップした。2種類の異なる金属を貼り合わせた鋼材「クラッド鋼板」の月産量を500トンにまで増やすのが狙いの一つ。同社はクラッド鋼板のほか、極薄ステンレス材や合金鋼などを母材とする、技術力が必要な加工を幅広く手掛けることで、収益力を高める方針だ。

 2直体制のために新たに2人を雇用した。近年は人手不足から2直体制を組むのは難しいが、北社長は「新人をうまく採用できたこともあったが、工場長が現場をうまくまとめてくれた」と話す。

 同社の月産量は約5千トン。スリッター専門のCCであり、小型5ラインを含め計8ラインのスリッターがある。これまでクラッド鋼板は1号ラインで加工していたが、8号ラインでも加工が可能となった。加工できる板厚の範囲も拡大した。

 今後の設備投資として、スリッターラインの部分更新を予定している。シャフト部分を更新するもので、予備部品も在庫として確保しておくことで、生産トラブルにもすぐに対応できるようにし、安定供給を目指す。

 同社の極薄加工は「切断面」および「破断面」を0・1ミリ単位で整えることができるのが特徴。鋼板の切断面には刃物で切る「切断面」のほかに、鋼板自身の重みで切れる「破断面」が生じるが、同社はコイルのはじめから終わりまで「切断面」および「破断面」を同じ割合かつ0・1ミリ単位で切れる技術がある。

 一昨年からクラッド鋼板の加工を始め、当初は月産数十トン程度だったが、電気自動車などで需要が増えているリチウムイオン電池向けなどで加工量が拡大している。

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