【2018年の四国鉄鋼需要、建築向け堅調】造船は大型コンテナ中心

民間建築、S造が好調

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 「今年の四国・鉄鋼需要は民間設備投資が比較的多く、少なくても1~3月は鋼材市況も堅調に推移する」―。四国地区の商社・流通の見方だ。土木関係では、高知、徳島での南海トラフ地震・津波対策工事は昨年からややスローダウンしているが、それでも「堅調圏内」。鋼材需要の半分近くを占める造船向けは、大手造船での大型コンテナ船の建造は忙しいが、そのほかは新規受注減から建造ピッチダウンが広がりそう。厚板出荷は「良くて昨年並み」との見方が多い。四国の鋼材需要量は年間約180万トン。うち造船が60%を占めるが、今年は建設向けが40%を上回る可能性も出ている。(小林 利雄)

 「昨17年決算は、四国の建材流通業者の多くが黒字だった。販売量が若干増えたことと、製品市況が上昇したためだ」と香川県内の建材流通業者は話す。

 今年も香川、愛媛、徳島などで民間設備投資が堅調なことで、「少なくても年前半は、鋼材需要が堅調だ」とみている。

 特にH形鋼などを使うS(鉄骨)造建築が多い。業界筋の概算では、タダノ・高松新工場(6千トン)、日本食研(6千トン)、香川銀行(2500トン)、JA阿南(3千トン)のほか、大塚製薬、日亜化学、住友化学、大王製紙、JRホテルクレメント高松・別館などが計画されている。基礎工事部分には鉄筋も多く使われる見通しだ。

 四国のファブリケーター(鉄骨加工業者)の加工能力は月1万トン未満。それだけにファブ業者は昨年以来ほぼフル稼働。「四国地区の物件だけでなく、九州や北海道に流れていた東京首都圏の加工物件も、同地区の加工能力満杯で、中四国に流れてきている」(商社)。

 流通業者にとって目下の悩みは、輸送費の上昇。運転手不足も加わって鋼材輸送トラックやトレーラーの需給がタイト化している。過積載への取り締まり強化も少なからず影響しているようだ。

 「自社の人件費も上昇しており、コスト高は予想以上だ。製品市況をしっかり固めてコスト上昇分を吸収していく必要がある」と流通業者も販売姿勢を一段と強めていく構え。

「メガ・コンテナ」は建造相次ぐ

 瀬戸内沿岸の大手造船所ではこの2年、「1万4千個積み」や「2万個積み」のメガ・コンテナ船の建造が相次いでいる。ただ「こうした造船所ではフル操業が続いているが、造船業界全体では仕事量が落ちている」と造船用鋼材を販売する流通業者は指摘する。

 主力の「ばら積み船」などの世界船腹量が依然多く、新造船の発注が少ない。「海外造船の受注競争も影響して受注船価が思うように上昇しない中で、日本の造船各社は新規受注で苦戦しているのが現状」で、多くの造船会社が手持ち工事の建造ピッチを落としているという。「造船各社は2年くらい先まで受注残があるが、その先は不透明。2020年あるいは21年には受注残が皆無になることも考えられる」。

公共土木は津波対策と高速道路

 公共工事は、高知、徳島の津波対策工事と、高松道の4車線化工事や徳島道・徳島JCTからの延伸工事、四国横断自動車道工事など土木関連工事が継続している。津波対策工事は2年前までに比べてやや減少しているが、高速道路工事と合わせて、鋼管杭、鋼矢板、鉄筋などの出荷は今年も堅調が見込まれる。

年頭所感/地域経済の好循環を実現/四国経済産業局長・長濱裕二

 平成30年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 四国地域の経済は、一部に弱い動きがあるものの、緩やかな持ち直しの動きがみられています。さらに、地域経済の好循環を実現していくために、次の4点に軸足をおいて、積極的な取り組みを展開してまいります。

 第1は、未来投資の促進と産業競争力の強化です。

 地域が持続的に成長していくために、地域未来投資促進法を活用し、製造業に加え、観光・まちづくり、農林水産・地域商社などの分野において、地域経済をけん引する事業を創出することで、四国の未来につながる投資を呼び込みます。

 また、IoTやロボット技術の利活用を柱とした「Connected Industries」に対する投資環境の整備とともに税制や金融面での支援により、生産性向上を推進し、産業競争力の強化を図ります。

 第2は、中小企業の事業継承です。

 中小企業経営者の高齢化の進展等を踏まえ、事業承継については、今後10年を集中的な支援期間と位置付け、経営者への早期の気づきの促進から後継者とのマッチング、承継時における税制の利用促進、承継を契機とした経営革新や設備投資支援等まで切れ目のない支援を行ってまいります。

 第3は、海外需要の取り込みです。

 「四国地域海外展開応援フォーラム」の活動や「新輸出大国コンソーシアム」参加支援機関等との連携により、積極的に海外展開に取り組む企業への支援を拡大します。また、インバウンド需要の獲得にも取り組みます。

 第4は、エネルギーコストの低減と安定供給の確保です。

 エネルギーシステム改革を着実に進めるとともに、省エネルギーの徹底、再生可能エネルギーの導入および水素社会の実現に向けて取り組んでまいります。さらに、リサイクルの推進や国内資源の確保、エネルギー供給網の強靭化についても取り組みます。

 当局職員一同、関係機関と連携しながら、これら取り組みを着実に推進していく所存です。本年も一層のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。