日鉄住金建材、等厚合成スラブデッキ開発 トータルコスト10%以上低減

 日鉄住金建材(社長・中川智章氏)は11日、等厚の合成スラブ用デッキプレート「サイノスデッキ」を開発したと発表した。高品位な等厚の床を合成スラブの低コストで実現することができる。フラットデッキを用いたRCスラブに比べトータルコストを10%以上削減可能で、日本建築センターの評定を取得した。今月、野木製造所(栃木県下都賀郡)での生産体制を確立。東日本のマーケットをメーンに積極的な営業を展開していく方針。

 開発したのはユーザーからの要望が強かった等厚スラブを実現する合成スラブ用デッキプレート。従来は等厚スラブのニーズにフラットデッキで対応していたが、ユーザーはコスト高となっていた。本製品は等厚RCスラブと同等の振動・遮音性能を確保しつつ、材料の低減と施工の省略によりトータルコストを削減できる。

 2016年に開発したロングスパン型枠用「アクロスデッキ」のリバーシブル製品で、同じラインで生産が可能というメリットもある。底面がフラットなため、断熱性能などが求められる空間を構築する場合、下から施工した壁をそのままデッキに当てられるなど高い施工性を有する。

 近年需要の多い大型物流倉庫向けに国土交通大臣の耐火構造認定(床1時間)を取得。配筋付きデッキの市場に食い込んでいく。また、再開発案件など高層ビル向けに床2時間耐火の認定も取得するなど旺盛な需要に対応可能な体制を整えた。今後、設計事務所やゼネコンの設計部隊へ積極的な織り込み活動を展開していく。

 生産可能範囲は幅400×高さ90ミリ、板厚1・0、1・2、1・6ミリ。製造長さは1~12メートルまで。製品名は「注目の的」などの意味を持つ「cynosure」に由来。「アクロスデッキ」との釣り合いを考え「サイノスデッキ」とした。ユーザーのニーズは多様化する傾向にあり、同社では今後もこうしたニーズにきめ細かく対応していく方針。

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