12日(金)に発表された齋藤学の川崎フロンターレ移籍。
Jリーグファンの間で大きな話題となっている。
齋藤は横浜F・マリノスのアカデミーで育った生え抜きの選手であった。
昨シーズンのオフにも去就が騒がれたが、結局は残留を選択。海外移籍に向けた準備を進めながらも特別に練習参加しており、最終的には伝統の背番号「10」を与えられキャプテンにも就任した。
それにもかかわらずライバルチームに“0円”で移籍したことに対し、怒りに近い感情を持つサポーターも少なくない。
しかし、横浜FMサポーターが胸を痛めているのはそうした理由からだけではないはずだ。
齋藤は昨年9月23日に行われたJ1第27節のヴァンフォーレ甲府戦で、右膝前十字靱帯損傷という負傷を負った。
全治8ヶ月という大怪我は精神的にもダメージが大きく、横浜FMの優勝に貢献できない悔しさ、ロシアW杯への出場が遠のく辛さに誰よりも心を痛めていたのだが、そんな齋藤を誰よりもサポートしたのがサポーターだった。
直後に行われたJ1第28節のガンバ大阪戦、市立吹田サッカースタジアムのゴール裏には齋藤を後押しするための様々なゲームフラッグが並んでいた。
「学待ってる」や「学とタイトルとりたい」というメッセージ。
また、齋藤のユニフォームを掲げているファンの姿も確認できる。
選手がウォーミングアップに現れると、サポーターたちは「学と一緒にW杯」という大きな横断幕を掲げ、背番号「10」のジャイアントフラッグを揺らした。
またこの時、齋藤が好きなアーティストNOBUさんの「いま、太陽に向かって咲く花」という歌をサポーターたちで歌ったのだという。
試合前と試合後、選手や監督も齋藤の早期復帰を願うメッセージTシャツを着用していた。
こうした温かいサポートを受け、齋藤はTwitterで「全部伝わってます」、「こりゃ、リハビリ頑張らないと」、「俺も負けてられませんー」などとコメント。
しかし、そうしたサポーターの気持ちは齋藤に届かず、このほどチームを離れることとなった。
もちろん移籍には様々な事情があり、最終的には齋藤自身が決めることである。
しかし横浜FMサポーターとしては、あれだけ手厚いサポートをしてきたにもかかわらず、クラブに対してほとんど何も残さない形で出て行かれたとなると流石に複雑な心境であるはず…。
昨年2月、齋藤が残留を報告した際のツイートには200件以上のリプライが付いており、そのほとんどが横浜FMファンによる歓迎的なものだった。
あれから約1年が経過し、まさかこうした事態になるとは誰も想像していなかっただろう。