つば九郎とドアラの“二強”を脅かせ 実は強烈なパ・リーグのマスコットたち

ソフトバンクのマスコット・ハリーホークとふうさん【写真:(C)PLM】

日本ハムはB☆Bからフレップに世代交代

 子供たちの人気を集める親しみやすいキャラクターとして、はたまた選手のよき理解者として、度々注目を浴びてきたプロ野球のマスコット。中日のドアラや東京ヤクルトのつば九郎の知名度は、もはや野球ファンだけにとどまらず全国区に至っている。それぞれ愛らしい見た目とエッジの利いたキャラクターで、いろいろな意味で世間を賑わせてきた。

 しかし、パ・リーグのマスコットも負けてはいない。近年は福岡ソフトバンクの「ふうさん」、千葉ロッテの「謎の魚」が話題をさらったが、「キモカワイイ」だけが全てではない。パ・リーグが誇るマスコットの世界を紹介していこう。

【北海道日本ハム】
○フレップ・ザ・フォックス
○ポリーポラリス
○B☆B
○カビー・ザ・ベアー

 昨年、B☆Bがグラウンドでの活動に一区切りつけることが発表され、見習いとして活動していたキタキツネのフレップが、メインマスコットの座を引き継ぐこととなった。これまではなぜか、加藤貴之投手を筆頭に一部の選手に冷たくあしらわれていたが、今年はどのように選手たちと交流していくのだろうか。その成長に注目が集まる。

 北海道日本ハムの誕生とともにデビューしたクマのB☆Bは、運動神経抜群で選手の物まねやピアノが得意。デビュー当時の北海道212市町村を全て訪問する一大プロジェクト「212物語」を10年かけて達成するなど、地域貢献にも力を注いできた。今年から「みらい大志」として北海道150年事業にも参画するという。彼の前途を応援したい。

 ファーム本拠地・鎌ヶ谷スタジアムで活動するのは、B☆Bの弟であるカビーだ。2010年から始めたツイッターは、「~てすのて」「くたたい」など特定の箇所で濁点や促音を使わない独特の口調と、ほのぼのとした内容で人気を博している。

【楽天】
○クラッチ
○クラッチーナ
○スイッチ

 イヌワシのクラッチは、大きなお腹がチャームポイントの男の子。名前の意味は、英語で「わしづかみ」だ。クラッチーナはおしゃれが好きな女の子。選手によくからかわれているが、白熱した試合では熱心にその展開を見守っている姿がいじらしい。昨年は伊達政宗公や映画「スターウォーズ」などの扮装でファンの目を楽しませてくれた彼ら。今年はどんなかわいらしい姿を見せてくれるか。

正統派の西武レオ&ライナ、ロッテは「謎の魚」が話題に

【埼玉西武】
○レオ
○ライナ

 漫画の神様・手塚治虫氏の手でデザインされたレオは、立派な白いたてがみに精悍な顔つきのイケメンマスコットである。特技はアクロバットパフォーマンスで、昨年は「炎獅子ユニホーム」期間中の大型連勝に合わせて、連続バック転の回数を増やしていった。

 レオの妹であるライナは、セクシーでキュートな仕草と躍動感あふれるダンスパフォーマンスが魅力。昨年から始めたツイッターは当初期間限定だったが、「えらいひと」からの「じれい」により継続することになった。なお、彼女に近づく選手は、もれなくレオの妨害に遭う。

【千葉ロッテ】
○マーくん
○リーンちゃん
○ズーちゃん
○謎の魚

 カモメのマーくん、リーンちゃん、ズーちゃん(つなげるとマリーンズになる)は、球場外のステージでダンスや大喜利、筆談トークなど、なんでもこなす人気者。マーくんはアイドルDVDの鑑賞が趣味で「モーニング娘。’17」のファンだという。東京ヤクルトのつばみから熱烈なアプローチを受けているが、迷惑そうにしている様子がよく見られる。

 リーンちゃんは益田直也投手と仲が良い。猫が好きで、ステッキ「にゃんにゃん棒」を持ち歩いている。昨年札幌ドームに遠征した際、好きな俳優である安田顕さん(北海道出身)のうちわを持って登場し、SNSがざわついたとかそうでないとか。

 わんぱくな見た目と「あざとい」動きで人気を博すズーちゃん。注目してほしいのは他球団の選手との仲の良さだ。北海道日本ハムの谷口雄也選手、埼玉西武の永江恭平選手、楽天の聖澤諒選手、福岡ソフトバンクの中村晃選手ら親しいメンバーに対しては、イラストや手紙を試合前のベンチへ持参したり、彼らのグッズにサインを貰ったりして交流を図っている。

 そして昨年、突如現れて全国に衝撃を与えた「謎の魚」は、第1形態がチョウチンアンコウのような魚。第2形態でチョウチンアンコウのような魚から人間の足のようなものが生え、第3形態は魚部分を脱ぎ捨てて「骨」が現れた。この骨は実に軽快に動き回る。昨年末には球団と「契約更改すらしてもらえない」と嘆き、有馬記念で一攫千金を目論んでいた。

オリックスはブル&ベルの兄妹、ホークスは鷹マスコットに「ふうさん」仲間入り

【オリックス】
○バファローブル
○バファローベル

 2011年から登場したバファローブルとベルは兄妹。「ベルたそ」と呼ばれ、一部から絶大な支持を集めるベルは、洗練されたビジュアルと一挙手一投足まで隙のないかわいらしさで多くのファンを魅了。過去にはフォトブックも出版した。

 ブルは妹の陰に隠れがちだが、2013年に実は「モードチェンジ機能」を備えていることが判明。「“超人的”な選手たちと身近に接し、また熱いファンの声援を浴びる」ことで、「絶対に負けられない試合や勝負どころのイニングなどに、内蔵されたパワーを開放」し、“強さ”と“カッコよさ”を増幅させた「バファローブル バトルモード」にチェンジする、らしい。グリーティングではブルがおにぎり、ベルがいちごを持ち歩いている。

【福岡ソフトバンク】
○ハリーホーク
○ホークファミリー(ハニー、ハック、リック、ホック、ハーキュリーなど)
○ふうさん
○ひな丸

 メインマスコットであるハリーホークは、ダンスやバック転などアクロバティックなパフォーマンスが得意なナイスガイ。公式のプロフィール欄には「ホークスに入団し、エースで4番バッターを務めるスーパースター」と記載されている。

 そして2015年、比較的大人しく正統派の鷹マスコットの中に、突如現れたのがふうさんだ。見た目は巨大な白いジェット風船。胴体が長く頭が膨らんでいるので、足元がおぼつかない。グラウンドから撤収する時はサイズオーバーで出入口を通れないため、勢いよくそこに走り込んでは頭をぶつけ、反動でシートの上に倒れたところをスタッフに引きずられながら姿を消すが、実は普通に頭を下げて退場することもできる。よくヘッドバットを繰り出す。

 以上がパ・リーグの個性的なマスコットたちだ。昨今はマスコットと触れ合うことを楽しみに、球場へ足を運ぶファンも珍しくはない。新規の野球ファン獲得や地域貢献など、彼らマスコットの役割は多岐にわたり、その影響力も決して小さくはないのだ。現地のファンや選手の癒しとなりながら、野球界全体の発展のために尽力するマスコットたちを、これからも温かく見守っていきたい。

(Full-Count編集部)

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