山下ふ頭 一部供用見送り 横浜市

 横浜臨海部の新たなにぎわい拠点として山下ふ頭(横浜市中区)の再開発を進めてきた同市は12日までに、当初予定していた2020年度の一部先行供用(約13ヘクタール)を見送り、約47ヘクタール全面を一体とした開発を進める検討を始めた。25年ごろの完成を目指す◆移転交渉まとまらず 市は当初、東京五輪・パラリンピックに合わせて、山下公園に隣接するエリア(約13ヘクタール)の先行供用を目指し、同エリアで操業する12社と16年度中に移転補償契約を済ませ、本年度中に再開発を担う民間事業者を公募する予定だった。

 しかし、このうち2社の交渉が難航して現在もまとまっておらず、林文子市長は9日の会見で「倉庫業者との話し合いが完全にできていないので、少し遅れる感じがしている」などと計画が遅れる可能性を示唆していた。

 関係者によると、地区全体を一体開発することで、統一感ある街並みや大規模なにぎわい拠点の形成を目指すという。

 山下ふ頭の再開発は「ハーバーリゾートの形成」をうたい、全47ヘクタールに文化芸術やエンターテインメント、宿泊施設などを建設する構想。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の最有力候補地ともみられている。

 IR誘致を巡っては、地元の横浜商工会議所などが経済活性化への期待から推進の立場を取る一方、港湾荷役事業者らでつくる横浜港運協会などは反対を表明している。

© 株式会社神奈川新聞社