映画になったインド初のMLB球団所属選手、プロレスラーに転身「WWEと契約」

パイレーツに所属していたリンク・シン【写真:Getty Images】

米球界初のインド人選手、今度はプロレスのリングへ

 インド初のプロ野球選手として話題を集めたリンク・シン投手が、米国のプロレス団体「WWE」入りすることになった。米ヤフースポーツが「ミリオン・ダラー・アームがWWEと契約」と題し、報じた。WWE公式サイトも認めている。 

 インド出身のシンは高校までやり投げとクリケットの選手だったが、2008年に野球の才能のある選手を発掘するインドのテレビ番組「ミリオン・ダラー・アーム」に出演。左腕投手としての素質を評価され、ディネシュ・パテルと共に3万7000人の中から合格を勝ち取り、同年11月にはパイレーツとのマイナー契約にまでこぎつけた。 

 MLB球団がインド人選手と契約するのは史上初のこと。野球経験のないインドの青年のサクセスストーリーは大きな話題となり、2010年に公開された「ミリオン・ダラー・アーム」のモデルにもなった。 

「ミリオン・ダラー・アーム」から「ミリオン・ダラー・レスラーへ」

 パイレーツではメジャー昇格を果たせず、2016年以降は野球から離れていたシン。2017年4月にドバイで行われたWWEのトライアウトに参加し、パフォーマンス・センター(トレーニング・スクール)のマット・ブルームヘッドコーチや、“伝説的ヒール”として名をはせたウィリアム・リーガル氏らの目に留まり、正式契約が決まったと記事では伝えている。 

 シンはWWEの公式ウェブサイト上で「過去10年野球に費やしてきたのと同じように、集中して強い気持ちを持ち続けていれば正しい方向へ進むことができると思う」と自信をのぞかせつつ、「もちろん今までとは全く違うトレーニングになるが、過去は関係ない。自分自身を乗り越えて、持てる全てを注ぎ込むつもりだ」と世界一のプロレス団体に身を投じる覚悟を口にした。 

 野球界からプロレス界へ。異色の転身を遂げたシンは現在、192センチ、116キロとパイレーツ時代よりも大幅なパワーアップを遂げた。29歳とまだまだ若く、パフォーマンス次第で人気レスラーになる可能性も秘めている。マット上で“ミリオン・ダラー・レスラー”を目指す。 

 16日(日本時間17日)にほかの入団者も含め、正式発表されるという。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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