GSユアサ、ハンガリーに新工場 車始動用リチウム電池製造

 GSユアサ(本社・京都市、社長・村尾修氏)は11日、京都市内で記者会見を行い全額出資子会社GS Yuasa Hungary(ジーエス・ユアサハンガリー)がハンガリー国で自動車始動用リチウムイオンバッテリー(LiB)を製造する、と発表した。初期のLiB年産能力は50万個。初期投資額は約40億円。

 ジーエス・ユアサハンガリーは2017年10月の設立。ジーエス・ユアサハンガリーが同国ミシュコルツ市にLiB工場を建設する。新工場では日本で製造したリチウムイオン電池(セル)を組み立てて欧州で需要拡大が見込める自動車始動用LiBを製造。海外のLiB工場としてはGSユアサで初のケースとなる。新工場は19年夏の竣工、19年11月の製品供給を予定。将来的にはリチウムイオン電池(セル)の製造も検討する。セルの日本での製造はリチウムエナジージャパンに委託する予定。

 ジーエス・ユアサハンガリーは所在地がミシュコルツ市で、敷地面積が14万平方メートル。出資金は350万ユーロ(約4億5500万円)。事業内容はLiB組立および電池開発・製造。

 記者会見は村尾社長、パラノビチ・ノルバート駐日ハンガリー大使が出席した。

 村尾社長は「当社のルーツ、島津源蔵は日本で初めて鉛蓄電池の試作に成功した。以来、世界中に良品の蓄電池の供給と、地球規模での環境問題に取り組んできた。工場立地にハンガリーを選択したのは納入するお客様と距離的に近く、欧州の中でのロケーションが非常に優れているからだ」と述べた。

 12ボルト自動車始動用LiBは同社の基幹商品であり、これまで培った技術力、商品力、販売力が強み。事業でのスピード感を大切にするために、単独で進出した。新工場の初期年産能力は50万個だが、市場動向を見て順次拡大させる意向。村尾社長は「始動用以外のEV、PHV用電池の生産も検討する。全固体電池の研究開発、EV化への対応、アライアンス戦略などは、今後の動向を見ながら柔軟に対応していく」とした。

 ノルバート大使は「GSユアサがハンガリーを選択してくれたことを大変喜んでいる。最初からサポートした経緯があるだけに、誇りに思う。日系企業は1991年のスズキ自動車を皮切りに166社が進出され、自動車生産王国との評価を得ている」と話した。

 全世界の自動車生産は年間約1億台で、その内欧州が20~30%を占める。このため12ボルトLiBの市場規模は2千万~3千万台と推定されている。

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