相鉄HDに出向継続命令 神奈川県労委、復職命令は不当労働行為

 県労働委員会は15日、相鉄ホールディングス(HD、横浜市西区)に対し、労使協議中に連結子会社の相鉄バスへの出向を解除してHDへの復職を命じたことは労働組合法で禁止されている不当労働行為に当たると認定し、協議終了まで出向を継続させるよう一部救済命令を出した。相模鉄道労組が2015年6月、救済を申し立てていた。

 県労委によると、HDは14年3月、相鉄バスへの出向社員の賃金差を穴埋めする経費の削減を主目的に、(1)相鉄バスへの転籍(2)早期退職(3)HDへの復職−を選ぶよう組合側に提案。労使協議が平行線をたどる中、HDは回答を拒否した58人(17年7月時点)の出向を解除し復職させた上で、バス以外の職場への配属を命じた。14年3月に204人だった対象の組合員は16人(同時点)に減ったという。

 命令では、相鉄バス勤務希望者への復職命令はなかったこととし、協議中は出向を継続するよう指摘。復職命令について「組合運営への打撃は甚だしく、組合の弱体化をもたらす支配介入に当たる」と認定した。また、団体交渉で相鉄グループ内の別会社の組合員がストライキを示唆した際に、HD側が「損害賠償や懲戒処分を検討せざるを得ない」と発言したことも、組合運営に対する支配介入に当たるとした。

 HDは「内容を精査した上で今後の対応を検討していく」とコメントしている。

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