首相 ICAN面会断る 「被爆国として情けない」 長崎の被爆者ら落胆

 昨年のノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長と安倍晋三首相の面会を日本政府が断ったことについて、長崎の被爆者らからは15日、「被爆国の首相として情けない」などと落胆する声が上がった。

 13日、核兵器禁止条約への日本政府の参加をめぐりフィン氏や外務省の担当課長らが長崎市内で討論した際、来場者からは条約に署名しない政府への批判が続出。長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長は「多くの市民が政府の姿勢に納得していないことが明らかになった。フィン氏と面会し、首相が恥をかくことを恐れたのでは」とあきれた様子。県平和運動センター被爆連の川野浩一議長も「ノーベル平和賞の受賞者と面会しないのは、国の儀礼としていかがなものか。条約から目を背け、政府が核廃絶を語るのはひきょうだ」と批判した。

 フィン氏を長崎に招いた長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の鈴木達治郎センター長は「残念。どういう理由で条約に参加しないのか、首相がきちんと国際社会に説明する必要がある。黙っているのが一番よくない」と指摘した。

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