自動車用鍛造リングギヤ、愛知製鋼が増産 熱間ローリングミル2ライン、18億円投じ新設

 愛知製鋼(社長・藤岡高広氏)は15日、鍛鋼一貫モノづくり競争力の強化と、主力鍛造品であるディファレンシャルリングギヤ(自動車の差動機構に用いる)の能力増強によるタイムリーな供給対応を目的に、熱間ローリングミル2ラインを鍛造工場内(愛知県東海市)に新設することを決め、同日起工式を行い着工した、と発表した。2019年3月に完成・稼働する計画。投資金額は18億円。縦型のローリングミルの採用などにより、高速生産性を維持しつつ作業者のスキルに依存しない生産体制を可能にする。

 新設するのは、ディファレンシャルリングギヤの鍛造から熱処理工程までを一貫した高速自動鍛造ライン2ライン。

 設備構成は、高周波加熱炉、トランスファー搬送式自動プレス、ローリングミル、FIA炉。産業用ロボットにより素材や製品を搬送する。生産能力は月間約18万個。

 特徴は、当社の鍛造品生産の特徴である高歩留まり・高速生産性を維持しつつ、新開発の縦型のローリングミル(ドーナツ状に成形した製品を圧延し外径を広げる工法)を採用した点。

 電動サーボによる数値制御で作業者のスキルに依存しない生産を可能とするほか、金型を縦型に配置することで、部品点数を低減し設備のコンパクト化を図る。また、成形工程で発生する酸化スケールの巻き込みを防止して高品質を実現する。

 さらに、今回の設備投資により段替え時間を短縮し生産の小ロット化を実現。熱処理工程を一貫化してリードタイムの短縮、省エネルギー化やCO2排出量削減にも貢献する。

 新設備導入を機に、HV、PHV、EV、FCVなど次世代車やグローバルでの需要増が見込まれるディファレンシャルリングギヤの生産性向上と

を進め、顧客への安定供給体制と、次世代を見据えたモノづくり戦略を進める。

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