金属行人(1月16日付)

 1月は英語で「JANUARY」。ローマ神話に登場する門の守護神、ヤヌス(JANUS)が語源とされる。「門」が物事の「始まり」を意味し、1年の最初の月を飾るようになって相当な時間がたとう。読者のみなさんの滑り出しはいかがだろうか▼そんな1月もあれよあれよという間に折り返しに入った。もっとも1月の別称は「睦月」。親族や知人たちが一堂に会して宴をする「睦び月(むつびつき)」が諸説の中で最も有力なようだが、そういつまでもお屠蘇(とそ)気分が許されるほど世間は甘くはない▼「1年の計は元旦にあり」と口ずさんだ日が遠く感じるきょうこのごろ。前述のヤヌス、物事の「始まり」だけでなく、門が果たすその機能から「終わり」を見守る役目も担っているのだとか。文献の中には、過ぎた時間をしっかり省み、これからの歩みを考えていく月との解釈もある▼まさにこの時期、挨拶回りや賀詞交換会もピークを過ぎ、ようやく日常のリズムに戻れるタイミングとも受け取れる。ここ2週間余りで交流した人たちの言葉も参考にしつつ、いったんは立てた目標を軌道修正するのも悪くない。1年の身の振り方を考えるのにも決して遅きに失してはいないだろう。

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