――東予製造所の現況を。
「フル操業が続いている。酸洗コイルが月9万トン。このうちめっきコイルを6万トン生産し、酸洗3万トンは堺製造所と日新製鋼建材・市川に原板として送っている。めっきコイルの約70%、4万トン強がZAM。残りは溶融亜鉛めっきの『ペンタイト』(GA)と『ペンタイトB』(GI)。ZAMなど表面処理鋼板の受注は好調が継続すると見込んでいる」
――日新全体のZAM生産量は。
「オール日新で月約7万トン。東予、堺製造所、日新製鋼建材・市川で生産しているが、東予は板厚0・8~6ミリの厚番手が主体で、堺が0・25~1・2ミリまでの薄番手。市川が0・25~2・3ミリを担当している」
――目下の課題は。
「東予は、日新のコア製品であるZAMの主力生産拠点。安定稼働を維持することが第一。そのためには作業、工事の安全を確保すること。同じレベルで重要なことは環境保全、コンプライアンス順守。これらの重大リスク発現防止のため設備改善や従業員教育に継続して取り組んでいく」
「東予は99年10月の操業開始から19年目を迎えるが、設備も老朽化してきている。メンテナンスもさらにしっかりやっていきたい」
――安定稼働に向けた具体的方策は。
「安全面では、従業員が少なく身近な災害事例も少ないので、危険体感教育の設備導入を検討している。防災面では製造ラインの火災対策設備の充実、訓練の継続を進める」
「またZAMの拠点として、商品・品質競争力の向上に向けた設備改善も継続してやっていく」
――東予の物流システムはコイル搬送のAGV(無人・無軌道搬送車)に象徴されるように、操業開始当初から無人・自動化されている。
「呉製鉄所から搬入される熱延コイルの陸揚げ・所内搬送・中間製品の移動・最終製品の出荷まで、すべて無人化している。非常にシンプルな物流で、中間在庫も少なく、ほぼ全自動でコイルが搬送されるので、1カ所のトラブルが所全体に波及する。物流関係は月星海運、設備保全は日新工機で担当してもらっているが、こちらも少数精鋭でがんばってもらっている。グループ間の連携をより緊密にして風通しの良い運営を続けたい」
――地域との連携にも力を入れている。
「新しい製造所ということで、地元や愛媛県、西条市における認知度も高くなってきた。ここ数年、地元高校生数人をインターンシップとして工場に招いているほか、昨年10月の愛媛国体ではオフィシャル・サポーターに名を連ねた。年末には地元関係者を招いての餅つき大会も実施している。これからも地元の皆様に親しまれ、『愛媛県、西条市に日新・東予あり』と思っていただけるようがんばりたい。ZAMを愛媛県、西条市の『名産品』とおもっていただけるように、より多くのお客様に使っていただき、満足度向上に取り組みたい」(小林 利雄)
略歴
渡辺 勉氏(わたなべ・つとむ)86年(昭61)名古屋大金属鉄鋼科卒、日新製鋼入社。呉製鉄所圧延技術課から2003年熱延課長。07年本社技術総括部、12年呉・圧延部長から17年4月東予製造所長。63年(昭38)4月生まれ、54歳。山口県周南市出身。