【2018年 課題と展望(1)】〈日本アルミニウム協会・岡田満会長〉18年需要、前年並み維持

品質問題、業界のガイドライン策定へ

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――17年を振り返る上で、神戸製鋼所の品質データ不正問題は見逃すことができない。協会長としてこの問題をどう見たか。

 「昨年10月の情報公開以降、問題の大きさが徐々に明らかになったが、その後は納入先の多くで安全性が証明されている。外部調査委員会による調査は2月末をめどとしているとのことであるが、その前に神戸製鋼の内部での調査を進め、結果を公表したというのは、しっかり対応しているのではないか」

――協会として、今後の対応は。

日本アルミニウム協会・岡田会長

 「日本鉄鋼連盟が品質管理のガイドインを策定していることは承知している。業界全体を包括できるガイドラインをアルミに展開できるかの判断が必要になるが、これは昨年12月にアルミ協会に立ち上げた専門委員会(検討会)で方向性を議論している。タイムリーに実効性を伴うものを作りたい」

――AIやIoTの実効性についてどう考えているか。

 「日本の技能や現場力は誇るべきもので、これからも伸ばしていく部分だろう。AIやIoTは欧米では技能にとって代わるものだと理解されがちだが、日本では職人的な現場力を補完するというのがあるべき視点だ。両者とも重要であり、積極的に取り入れることが望まれる」

 「AIやIoTの導入はコストがかかるものの、効率化による競争力の飛躍的な向上が期待できる可能性があると考える」

――18年の展望はアルミ圧延業界にとってどのような1年になりそうか。

 「アルミ板や押出、箔のいずれの品種についても各需要分野で成長が期待される部分がそろっているので、総量としては17年並みを維持できるのではないか。例えば缶材はビール系飲料が落ちているものの、ボトル缶需要がカバーして全体では現状維持を続けてくれると思う。自動車は板・押出ともにアルミ部材を採用する車種が増えており、増加傾向が続くだろう。建設は東京オリンピックが控えていることもあり底堅い。半導体・液晶製造装置は、特に半導体需要が自動車や家電など使用用途の広がりによって昨年並みが期待できる。箔も電解コンデンサー、LiBの用途拡大・量的拡大が期待材料だ」

――17年は中国のアルミ地金減産が進んだ年だった。日本への影響は?

 「世界のアルミ地金の半分を製造している中国が減産にかじを切っていることは、アルミ価格の上昇につながるため国内産業への影響も大きい。今後も中国政府がこの政策を継続していくかどうか読めないという点が、懸念材料だ」

 「一方で圧延品に関してみると、足元で政策的なものはない。中国忠旺集団など大規模圧延工場を新規に稼働させる例が散見されているので、輸出された場合、アルミ材料が日本や東南アジアの市況を引き下げたりする可能性はある。すでに製缶メーカーの一部が中国製アルミ板を使用しているという情報もある。業界としては、日本の材料を使って安定生産したいと思ってもらえるようにQCD(品質、価格、納期)や製品への信頼感をアピールしていく必要がある」

――今年のアルミ地金価格の見通しは。

 「予測は困難だが、中国の減産が政府の計画通り進めば上昇する可能性がある」

――米国政権が中国製アルミ板に対するアンチダンピング調査を始めた。日本の立場は。

 「この件は経済産業省が窓口になり、いろいろ動きを捉えている。経産省と密接に連携して適切に対応していくことになる。こういう問題は各国が連携しなければ効果の発揮は難しいだろう」

――現在の日本は中国材の損失を被っているのか?

 「米国のような被害が出ているかどうか、まだ調査の余地がある。潜在的に影響を受けている可能性はある」

――会員各社に海外情報を提供する取り組みの進ちょくは。

 「日本のアルミ団体として、米国アルミ協会をはじめとした世界の業界団体と情報交換をしてきた。このような活動で得た情報の中から、必要な情報を協会会員会社に提供することもだいぶできている。昨年12月に着任した田端専務理事も中国をはじめさまざまな方面と交流があるので、情報収集はこれからも積極化していきたい。アルミ地金の話だけでなく、アルミ業界全体の国際的な情報の獲得を狙っていく」(遊佐 鉄平)