GT4、TCR……スーパー耐久で使えるカスタマーレーシングカーが続々ドバイ24時間に登場

 1月10〜13日に、アラブ首長国連邦のドバイ・オートドロームで開催された24時間シリーズ第1戦・ドバイ24時間。このレースでは、ここ数年で急速に台数を増やしているGT4カー、TCRカーが多数参戦し、カスタマーレーシングカー界、特にスーパー耐久にとっても注目のレースと言えた。

 24H GTシリーズ、そして24H TCEシリーズの開幕ラウンドとなった今回のドバイ24時間は、GTクラスの場合主役はGT3カーで、それに継ぐ存在としてランボルギーニ・スーパートロフェオやポルシェ911 GT3 Cupといったカップカー、そしてGT4が主力となった。

 今回のドバイ24時間では、GT4カーは12台がエントリー。内訳はポルシェ・ケイマン・クラブスポーツMRが2台、メルセデスベンツAMG GT Rが2台、アウディR8 LMS GT4が2台、マクラーレン570S GT4が1台、ジネッタG55 GT4エボが1台、そしてデビュー戦となったBMW M4 GT4が4台だ。

 すでにブランパンGTシリーズ・アジア等で日本でも何台かが走行しているGT4カーは、2017年からスーパー耐久にも参加が可能になるなど、値段が高騰しつつあるGT3に代わって、今後ジェントルマンドライバーたちが使用するGTカーのメインとなる可能性が高い。

 実際、GT4は中身を見ても市販車然としており、コストが抑えられていた印象だ。逆に、性能調整があるとは言え、GT3以上に市販車のパフォーマンスが扱いやすさに直結すると言えるだろう。日本車のGT4が製作されるためには、この“市販車での性能の高さ”が問題になってきそうだ。

 2018年のドバイでは、最終的にはフェニックス・レーシングが走らせたアウディがワン・ツーフィニッシュ。ブラックファルコンが走らせたメルセデスが3位となった。アウディスポーツは、カスタマーレーシングを担当するクリス・ラインケのコメントとして「ドライバー、そしてチームの成功を祝福する」とコメントしている。

 一方、デビュー戦のBMW M4 GT4は、5位に入ったソルグ・レンシュポルトの252号車が最上位となった。「我々BMWモータースポーツの最新の製品は、プライベートチームのためのものだ。我々は数ヶ月にわたって集中的な開発とテストを行ってきた。私はカスタマーたちに実際にレースシーンを見せることができ嬉しく思う」とBMWモータースポーツ代表のイェンス・マルカルトは語っている。

 GT4は今後もバリエーションが増えそうで、ユーザーの選択肢も増えていきそうだ。

■TCRも15台が参戦。シビックは完走ならずも手ごたえ

 GTクラスとともに開催されたツーリングカーカテゴリーであるTCEクラスでは、主力は爆発的に台数が増えているTCRとなった。今回のドバイ24時間はアウディRS4 LMSとセアト・レオンTCRが主体で、これにフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR、プジョー308・レーシングカップ、そしてこれがレースデビューとなったホンダ・シビック・タイプR・TCRらが絡む展開となった。

 結果的には、日本のD’station RacingとGULF Racingとピットをともにしたリキモリ・チーム・エングストラーのゴルフGTIがレースを制することになったが、アウディ、プジョーに速さがあった印象だ。一方、デビュー戦のシビック・タイプRは残念ながら完走を逃しているものの、マシンを制作したJASモータースポーツは、ドバイでの戦いに満足しているようだ。

「我々はドバイで、ターゲットを定めずに実際のレースでシビック・タイプRがどんなパフォーマンスをみせるのかを見ることを計画していたんだ。この実験は効果が高かった。すごくポジティブだったのは、性能調整が遅れて重さが増やされ、パワーが減らされたにもかかわらず、スピードが我々が望むところにあったんだ」というのは、JASモータースポーツのTCR担当であるマッズ・フィッシャー。

「スプリントレースよりも週末に多くのデータを集めることができたし、カスタマーのために即座にマシンを改善する分野を特定することができたんだ。我々は完走扱いにはならなかったが、クルマの強さを確信しているよ。レース参戦を決め、スピリットとプロフェッショナリズムを与えてくれたチームに感謝しなければならない」

 GT4と同様に、TCRも2017年からスーパー耐久にクラスが設けられており、シビック・タイプRも2018年には複数台の参加が噂されている。今回のドバイ24時間は、カスタマーレーシングカー導入を考える日本のチームにとっても、注目のレースだったのではないだろうか。

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