日本冶金工業と南京鋼鉄など、中国合弁が本格始動 高機能材を拡販

 日本冶金工業と中国の南京鋼鉄、江蘇三金特殊金属材料の高機能材合弁会社が16日、営業を開始した。これにより日本冶金がスラブを供給し、南京鋼鉄の最新鋭・高性能の厚板設備や営業基盤を活用して、高機能材事業の拡大を図る中国プロジェクトが本格的にスタートした。

 合弁会社は南鋼日邦冶金商貿(南京)。資本金1千万人民元で出資構成は日本冶金60%、南京鋼鉄37%、江蘇三金3%。董事長は王昆日本冶金常務執行役員(兼務)、総経理は廣田久樹氏。総勢6人・常勤2人体制でスタートした。高機能材(主としてニッケル含有率20%以上の高ニッケル合金)の仕入れ販売、委託圧延・委託加工、技術・品質保証サービスを行う。

 中国は日本冶金の高機能材の主要輸出先で、プラント・設備機器関連需要が環境・エネルギー政策や産業振興政策を背景に高成長を続ける見通し。一方、短納期化、大単重化、超広幅化などのニーズが高まり、欧米メーカーとの競争においてもニーズ対応の実現が喫緊の課題となっていた。

 南京鋼鉄は2004年稼働の3800ミリ幅ステッケルミル、13年稼働の5千ミリ幅熱間圧延機などを持ち、日本冶金は同社と組むことで高度化する市場ニーズに即した製品供給体制を構築する。大手国営石油会社など南京鋼鉄の営業基盤も活用できる。日邦冶金商貿(上海)との連携も進める。

 王董事長は16日の開業式で「超広幅・大単重の板の供給により、構造物の溶接工数合理化や製造工期短縮だけでなく溶接構造物の安全性向上も期待できる。今年は日中平和友好条約締結40周年に当たる。この時期に新たな日中合弁事業を始め、中国製造業の発展、日中関係のさらなる深化に微力ながら貢献できることは意義深いと感じる」と挨拶した。

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