【新18年分野別鋼材需要動向を探る】〈(1)自動車向け〉国内車生産、小幅減の950万台程度へ 中国の車市場、3000万台乗せが焦点

 2018年の国内外向け自動車鋼材需要は、昨17年とほぼ横ばいとなり、高水準で推移する見通しだ。国内の新車販売は、新型車効果があった17年との比較では微減となる見通しで、その分だけ国内完成車台数が下振れする可能性はある。年度ベースで見ると17年度の960万~970万台見込みに対し、18年度は950万~960万台程度となりそうだ。

 世界の自動車市場は拡大を続ける。トヨタ自動車は昨年12月下旬、グループのダイハツ工業と日野自動車を含む18年の世界販売台数を前年比1%増の1049万5千台とする計画を公表した。17年、18年と2年連続で過去最高を更新する見通しで、1千万台超えは5年連続となる。

 トヨタは国内販売を5%減の222万5千台、海外は3%増の827万台としている。国内の日当たり生産台数計画について「毎年の季節要因ではあるものの、1~3月と4~6月の段差が大きい(減少幅が大きい)」と心配する向きもあるが、おそらく上方修正されるのではないか。

 世界を見渡すと、中国の自動車市場には引き続き注視が必要だ。昨年12月末で小型車の減税措置が打ち切られた影響が、どこまで出るか。「日系車の1月、2月の計画数字を見る限り、前年比プラスとなりそうで、相当な勢いがある」(中国現地筋)との声もあるが、これまでの増加ペースが鈍化するのか。昨年は2900万台レベルになった自動車生産販売市場が3千万台乗せとなるのか、などが注目される。

 世界2位の市場である米国は、18年は前17年比で微減との予想が支配的だが、高水準となる見通し。GMは業界全体の18年の新車販売が1700万台を下回ると予想している。なお、17年の販売台数は1723万台と、過去最高(1755万台)を記録した16年から2%近く減少した。

 高水準の販売が続いた米国市場でのピークアウト度合いによっては、日本国内の自動車生産に一定の影響が及ぶ可能性はある。(一柳 朋紀)

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