金属行人(1月17日付)

 非鉄金属相場は年明けも比較的堅調だ。中国経済の動向次第という傾向に変わりはないが、銅や鉛、亜鉛、ニッケルといった金属は総じて供給不足が継続すると見込まれ、良好な世界経済に支えられながら今年も価格は堅調に推移すると見込まれる▼電気自動車(EV)へのシフトや社会のIoT化、AI技術の進展などに不可欠な非鉄金属の需要は中長期的にも成長が期待できる。一方で懸念材料は原料確保の問題だ。特に車載用リチウムイオン電池に用いられるリチウム、ニッケル、コバルトはEV化が急速に進んだ場合、供給が追い付かない▼経済産業省で先週開かれた資源・燃料分科会でもこうした鉱種の偏在性や資源ナショナリズムの高まりなどによる供給リスクが再確認された。中でもコバルトはコンゴが世界生産の過半を占めるが、同国については内戦などの政情不安や資源ナショナリズムの顕在化、児童の手掘り採掘などといった問題点も指摘されている▼さらにコバルトは資源メジャーによる寡占化や中国、インドとの権益獲得競争の激化も脅威だ。「中国はコバルトを囲い込むことで電池を押さえ、電気自動車の覇権を握ろうとしている」とささやかれる中、日本はどのように対抗していくのだろうか。

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