「夢は東京パラ出場」 特支高等部3人 「ボッチャ愛好会」結成 仲間と体動かす喜び実感

 県立佐世保特別支援学校高等部(佐世保市竹辺町)は、生徒3人が障害者スポーツ「ボッチャ」の愛好会を結成し、今年から公式戦への参加など本格的な活動を始める。仲間と体を動かす喜びをかみしめ練習に打ち込む3人。呼び掛けた2年の西竜生さん(17)は「自分にはこれだ、と思えた。夢は大きく東京パラリンピック」と意気込む。

 「今年(2017年)最後の練習を始めます」。12月25日午後2時ごろ、キャプテンの西さんの号令で“ボッチャ納め”が始まった。3人一組で目標球の「ジャックボール」にいかに近づけられるかを競う。教諭チームとの試合形式の練習中、西さんは車いすの車輪近くからボールを慎重に放ち、ジャックボールの隣にぴたりと寄せた。「ナイスボッチャ」。歓声に何度もガッツポーズを決めた。

 きっかけは、昨年7月に県立諫早特別支援学校との合同チームで出場した「ボッチャ甲子園」だった。西さんはボールを前に飛ばせない段階から3カ月間にわたり、放課後に投げ方や距離の測り方を研究した。だが会場の雰囲気にのまれ初戦で敗退。消化不良だった西さんに教諭らが愛好会結成を提案した。「悔いばかりが残った。これで終わらせたくない」。そんな思いで2年の礒田明斗(あすと)さん(17)と1年の下津浦暉さん(16)に声を掛けた。

 2人にとってもチャンスだった。スポーツ好きの礒田さんは姿勢の保持や物を握って投げる動作が難しいが、滑り台のような器具にボールを乗せ、手の甲で押し出しジャックボールを狙う。体のバランスが取りにくく、部活動を諦めていた下津浦さんは「みんなで盛り上がったり悔しがったりするのが楽しい」と充実感をにじませる。

 ボッチャはリオデジャネイロ・パラリンピックで日本代表が銀メダルに輝き、注目された。チームの一人で、指導を受けたこともある本県出身の木谷隆行選手は西さんの憧れだ。「百発百中で格好よかった」と振り返る。「少しの力でボールの速さや向きが変わって奥深い。まだ未熟だが木谷さんを目指したい」と声を弾ませる。

 「ボッチャ甲子園でのリベンジが夢への第一歩」と西さん。12月中旬の諫早特支との練習試合では逆転負け。まずは3人での1勝が目標だ。「細かにコミュニケーションを取り、レベルを上げたい」。そう前を見据えた。

ジャックボールを目がけてボールを投げる(左から)西さん、下津浦さん、礒田さん=県立佐世保特別支援学校

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