新日鉄住金、現場の安全対策強化

安全柵設置など関連投資倍増へ

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 新日鉄住金は国内製鉄所の安全対策を強化する。2018年から20年までの3カ年を安全対策の浸透と定着に向けた重点強化期間に位置付け、同期間の安全投資を17年までの3カ年と比べて倍増させる方針だ。全国12製鉄所の圧延・精整ラインなどの危険箇所に安全防護柵を設置することが柱となる。設備対策と合わせて安全教育などソフト面の対策も充実させる。

18~20年、3カ年計画を策定

 新日鉄住金は昨年1年間を「安全体質特別強化年」に位置付け、製鉄所の安全管理体制を強化してきた。製鉄所間で優れた取り組みを水平展開する活動や設備対策となる機械安全化、「安全エキスパート」と呼ぶ安全専任者の配置などに注力してきた。今回、こうした取り組みの浸透と定着を目的に「安全3カ年計画」を初めて策定。「人」「設備」「仕組み」の三つの観点でさらなる改善を目指す。

 安全3カ年計画の大きな柱の一つが安全防護柵の設置。圧延工程や精整工程を中心とした約400ラインが対象で、ラインを構成する自動運転式の機械設備を柵で囲む。設備を停止しないと柵のドアが開かないインターロック式の仕組みとし、稼働中の設備に近づけないようにする。

 製鉄所の労働災害の中で発生頻度の高い挟まれ・巻き込まれ事故などの未然防止につなげたい考えだ。

 すでに一部ラインは柵の設置を終えており、20年までにすべての設置工事の完了を目指す。柵の設置に伴い業務に支障が生じる場合は、柵の設置と合わせて作業の自動化や機械化も検討する。

 新日鉄住金は安全3カ年計画の立案に当たり、過去に発生した重篤な災害約90件をリストアップし、類似した災害を防止するための設備対策がとられているかどうかを昨年までに全製鉄所で点検した。その結果、改善が不十分なケースもあったため、安全防護柵の設置と合わせて、類似災害防止に向けた設備強化策も講じる。

 一方、ソフト面の対策では昨年開始した「安全エキスパート制度」の定着を目指す。同制度は安全成績が優秀な職場から他の職場に社員を安全専任者として派遣する取り組み。2~3カ月の期間限定で派遣し、外部的な視点で職場の課題を洗い出す。

 すでに一定の効果を確認しており、現在10人程度の安全エキスパートを今後さらに増やすことも検討する。

 安全教育では若手を指導する立場の課長や工場長クラスの管理監督者向けの取り組みに注力する。危険行動に対する指導法や災害発生時の初動訓練などを充実させる。

 若手向けの教育では危険予知教育や予定外の作業を安全にこなすための変化点教育に引き続き力を入れる。

 新日鉄住金は16年に製鉄所内での死者数が7人と重大災害が多発したことを受け、安全対策を強化してきた。17年の死者数は1人に減少したものの、依然として死亡災害の撲滅には至っておらず、ハードとソフト両面で徹底した安全対策を講じる。