日産の新高級車「インフィニティQX50」、超ハイテン化率27%に拡大 高成形性980メガパスカル級を初採用

 日産自動車が今春に発売予定の高級車「インフィニティQX50」で使用される超高張力鋼板(ハイテン)の比率が27%へ拡大することがわかった。従来の「Q50」では11%だったが最新技術を積極採用し、適用部位を拡げる。

 日産自動車・材料技術部の福原恵美氏が17日に東京ビッグサイトで開かれた「オートモーティブワールド2018」で講演し、超ハイテンによる軽量化への取り組みで明らかにした。

 「QX50」では加工性に優れた第2世代ハイテンとされる「SHF980メガパスカル級超ハイテン」を世界の自動車メーカーで初めて採用。同鋼は第1世代ハイテンのDP鋼より高成形性が実現したため、リアサイドメンバーやピラーヒンジといった590メガパスカル材が使われていた部位でも超ハイテン化を進められるようになった。

 日産は2013年に高成形性1180メガパスカル級超ハイテンを「インフィニティQ50」や「ムラーノ」などで採用するなど、超ハイテンを使いこなす技術開発に力を注いできた。「QX50」では超ハイテンをさらに多用することで14キロの軽量化を達成している。

 日産は2025年までに車体を14年比で30%軽量化する目標を立てている。この実現に向け福原氏は「第2世代を超える次世代のハイテンが必要になる」とし、溶接や成形性もより複雑化することから「材料と要素の両技術が重要になる」と指摘。超ハイテンで鉄の可能性を最大限引き出しつつ、アルミやCFRP(炭素繊維)を組み合わせたマルチマテリアルも活用していく考えを示した。

© 株式会社鉄鋼新聞社