【2018年 課題と展望3】〈日本伸銅協会・柴田光義会長〉新技術で国際競争力強化

製造設備の増強も重要

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――昨年11月の理事会で急遽登板となりましたが。

 「金子明前会長(神戸製鋼所副社長)が社業の都合から辞任を申し出たため、副会長だった私が引き受けた。当座の任期は今年5月までだが、来年度いっぱいは会長職を担うつもりだ。技術開発に関するテーマに積極的に取り組んできたこれまでの路線はしっかり受け継ぎたい」

――昨年は品質関連で深刻な問題が起こりました。

 「伸銅品大手メーカーで品質管理に関する問題が起こったことを重く受け止め、伸銅業界としての信頼を回復できるよう対応していきたい。一般論だが品質管理の基本として顧客とコミュニケーションを密にして現実的な取り決めをすること、そして決めたことはしっかり守り通すことが重要だ。今回の問題を契機に各社がいま一度原点に立ち返って、その重要な基本を肝に銘じるべきだと思う。日本企業の品質は決して悪くはないので、これから管理体制をさらに盤石にするというメッセージを国際的に出していくことも必要になるだろう」

日本伸銅協会・柴田会長

――需要環境についてはどのような認識を。

 「2017年の伸銅品生産は約82万トンで前年比4・8%増。6年ぶりの高水準だった。銅条は日系自動車会社の生産が国内外で増え、自動車向けが好調だったほか、海外需要などがけん引して半導体向けも良かった。銅管は堅調なルームエアコン需要などに支えられて増加。さらに黄銅棒はガス機器や水栓金具など住宅関連分野が増え、自動車向けも好調だった。今年はそれぞれの分野が引き続き堅調に推移するとみている」

 「中期的にはあらゆるものが情報通信ネットワークとつながるIoTや自動車の電動化などが板条製品の需要に貢献するだろう。ここで伸びるのは日本勢が強みを発揮できる高付加価値な分野だ。また黄銅棒は五輪需要で底上げが見込まれるほか、長期的なスパンでは加工しやすく水素で脆化しにくい特性を生かし水素発電などの分野で活躍が期待できると思う」

――日本の伸銅業として中長期的な課題は。

 「まずは国際競争力をさらに強化することが必要。新興国メーカーが追い上げてくる中で、日本企業としての特徴を生かしながらグローバルにシェアを高めなければならない。我々は薄物を高品位に作る技術力や微量な元素を添加して特性を高める合金化のノウハウなどが強み。今後も新製品や新技術の開発をしっかり進めることが重要だ。併せて自動車やIoTなどに関する成長市場を取り込んでいくことも不可欠。さらに適切なタイミングで設備投資を進めていくことも大切になる」

――今後は設備投資も重要になる。

 「老朽化対応の時期を迎える設備が増えているだけでなく、中国勢が新鋭設備の導入を進めている中で、我々としても設備面での競争力を高める必要があると考えている。また、今後伸びる自動車やIoT関連分野では軽薄短小で加工度が高い伸銅品が増え、設備負荷が高まる。その中でも安定供給していくという意味合いも大きい。投資のタイミングはそれぞれの企業が決めるべきことだが、国際競争で勝つためには設備へのてこ入れが重要な時期に入ってくると思う。また顧客ニーズに対応した製品の製造や開発には適正な収益を確保することが大切だ」

――協会活動として重点を置くテーマについては。

 「技術開発に関しては国の助成事業に採択されたプロジェクトもあり、現在は新たな採択を目指しテーマ選定を進めている所だ。また来年度には新規分野の開拓に向けた技術開発の方向性を示す伸銅業のロードマップが改訂される。改訂版では新分野で我々に求められる製品や性能をさらに深掘りする。加えて伸銅業だけで解決できない課題に対応するため、他の非鉄金属業界との連携強化も検討したい。課題解決の力を強めるため将来的にはロードマップを共同策定できないかと考えている。また協会長が会員各社トップの意見を聞く会合を昨年から本格的に始めており、今年も継続する。そこから出たニーズを具体的な活動に生かしていきたい」(古瀬 唯)(おわり)